娘が子供だった頃に子供向けの全集物を読み聞かせたが、ほとんどの本は読んだことがあったが、この本は初めて読む本だった。そして、何とも言えぬ後味の悪さが残った。
カーレンの赤い靴が勝手に踊り出したのは、なぜだろう。教会に赤い靴を履いて行ったから、お世話になった奥様が辛い時に舞踏会へ行ったから、赤い靴に夢中になってうわの空だったから…それは良くないことかもしれない。でも、このような仕打ちを受けるほど、悪ことなのだろうか。
カーレンは辛い思いをしたから、許されると思ったが、自分が辛い思いをすることは悔い改めることにはならない。赤い靴が現れ、教会に入れない。自分の欲を優先して、恩や信仰を蔑ろにしたことを反省し、心から悪いと思った時、初めて、許される。そして、天に召される。天に召されるのが、救いというのも悲しい。
人が「いけない」と言うことはしてはいけない。人から受けた恩には感謝の気持ちを忘れてはいけない。そうでないと、恐ろしい呪いがかかるかもしれない。という話を子供にしたけれど、良くわからない。本当に恐ろしいのはこんなことで呪いをかける天使のような気がする。
小学生だった娘はバレエを習っていたので、足を切り落としても踊り続ける赤い靴を本当に怖がっていた。この本の絵はデフォルメされているので絵自体は怖くないが、あまり子供向けとは思わない。ただ、子供にもとても強い印象を与える本である。