ひらがなの国で、道端に濁点が置き去りにされていた。
主もないままに・・・。
その濁点は「ぜつぼう」にくっついていた濁点で、
このまま「ぜつぼう」にくっついていなければ、
主人は絶望しなくてすむと、自分を捨てるように主に申し出たと言う。
最後はめでたしめでたしなのだけど、
読んでいる途中では、とても切なくなりました。
「てんてん」がとても愛しくなりました。
絵がなかなかはっきりしていて、読み聞かせにいい!
と思うけれども、ちょっと内容は低学年には難しい。
高学年や大人にはぜひ手にとってほしい一冊。
日本語(ひらがな)だからこそできたお話。
濁点をとったりつけたりの、言葉遊びも面白いけれど、
そこからこんなおとぎ話が生まれるなんて、
日本語って楽しいなと思います。
昔から語り継がれてきたおはなしとは違いますが、
現実とはかけ離れた不思議な空間に入り込んだような気になります。
このおはなしは、元は原田氏の
短編集『ゆめうつつ草子』に初出されたものに
加筆修正されたものらしいです。
声に出して読まれることを想定してかかれたものらしいので、
ぜひ、ゆっくりじっくり声に出して読んでみてください。