住井すえといえば、名著「橋のない川」の長編を思い出します。
そして、牛久沼と部落解放運動のイメージが強いのですが、絵本作品もあったのだと驚きました。
そして絵が滝平二郎。
たまらない組み合わせです。
お話の舞台は意外にも中国。
牛飼いとおり姫が兄妹だという話にも驚きましたが、数奇な運命の後に七夕のお話につながっていることに、とても印象深く読みました。
評判の高い領主であった父親が、隣の領主に襲われるところから話が始まります。
兄妹は川下に逃げ、子どもを逃がした母親は父の最期をみとるために館に戻ります。
母親は死に星になります。
母親の言いつけに従い、川下の領主に奴隷にしてもらう兄妹。
どうして奴隷なのだろう?
奴隷の身分から牛飼い、おり姫になる展開に住井さんらしさを見つけました。
七夕は哀しいお話であるから、年に一度の星空を期待されるのでしょう。