渋くて深い作品です。
舞台は街から遠く遠く離れた小さな漁村です。
鉛筆画のような絵で、どんどんその村にフォーカスされて行くと、周りから隔絶された孤立社会のようです。
漁村だから、生活の中心は海を相手にした漁業にあります。
そんな中にいて、父(作者の祖父がモデル)はパン屋を営んでいるのです。
息子(作者のおじがモデル)は、常に安全な中にいる父の生活に後ろめたさを感じつつ、父の作るパンが、漁師たちや村を支えていることに誇りを感じています。
そして、その仕事を継承しようとしています。
生業とは何だろうと考えさせられます。
社会の先頭に立つ仕事、そんな仕事を後方で支える仕事、様々な仕事があって社会が成りたっているという、当たり前のことに優劣はないのだと感じさせられました。