海洋冒険絵本チムシリーズの著書で知られるエドワード・アーディゾーニの1964年の作品。
他に「時計つくりのジョニー」を読みましたが、イギリスを代表する絵本作家とのこと。
物語は、両親と娘のダイアナが、居間でくつろいでいるところに、サイが現れるシーンから始まります。
取り乱す両親と対照的に冷静なダイアナ。
サイが風邪をひいているのに気付き、大量の風邪薬と咳止めと、バター付きのトーストを与えるのです。
サイは動物園から逃亡したことがわかり、銃を持った3人の男が射殺にやってくるのですが、なんとダイアナはサイを育てると言ってきかないのです。
こうしてサイは、ダイアナによって育てられるのですが、物語は、ダイアナとサイが一緒に過ごす何十年もの時を綴るのです。
まさに奇想天外な展開なのですが、ダイアナとサイの関係が変ることなく淡々と描かれていて、その交流が何とも言えず心を癒してくれることでしょう。
犯罪のニュースが絶えることのない毎日を過ごす私達にとって、こうした静かな生活もあることを知ることは、非常に貴重である気がしてなりません。
また、生物のととの関わりあいを教えてくれる側面もあると思います。
文章が長いので、読み聞かせというよりは、小学校低学年の子が、自ら読むといった類の絵本だと思います。
エンディングも心地よく、ゆったりとした気分で読むことができるので、オススメします。