武田先生の出世作にして初期の最高傑作です。
タイトルと表紙絵だけ見ると、画面を大きく牛耳る怪獣姿の「ますだくん」が主人公かと思いきや、隅っこで小さくなっているみほちゃん中心に進むストーリー。ますだくんが怖いあまりに怪獣に見えてしまうみほちゃん視点での画像変換(ますだくんが人間として描かれるのは最後だけ)、まるでみほちゃんの心の不安や恐怖を表しているかのようなブレブレの不安定な描線。ネタをばらせば〆切に追われ担当編集者のプレッシャーに押された先生の焦りと不安から生み出された偶然の産物(?)ですが、それら全てが作品とキャラクターに生命と感情を吹き込み、読者の共感を呼び込む最良の形となっています。
みほちゃんの気持ちもよく分かります。これだけグイグイ来られたらそれは怖いですよね!…でもますだくんも(皆さんが知ってる通り)本当はとっても優しい男の子なのです。この「ますだくん」は他にもシリーズが計4冊出版されています。それらの作品ではよりますだくんの優しさに触れることができます。ぜひ「怪獣ではない」ますだくんも見てあげて下さい!
『ますだくんのランドセル』(1995)
『ますだくんの1ねんせい日記』(1996)
『ますだくんとはじめてのせきがえ』(〃)
『ますだくんとまいごのみほちゃん』(1997)