谷口智則さん最新刊 全然違う「きみ」と「ぼく」の物語
絵本紹介
2022.09.02
9月10日は「中秋の名月」。そう、お月見です。
お月見は、旧暦の8月15日の夜(十五夜)の月を愛でる行事。地域によっては、その年の収穫を祝って里芋をお供えすることから「芋名月」とも呼ばれています。お団子を作って食べたり、ススキを飾ったり、子どもたちにとっても馴染み深い行事のひとつですよね。
9月のテーマ絵本のひとつは「お月見の絵本」です。今年の十五夜はお月見の絵本を読んでから、十五夜を見上げてみてはいかがでしょう?
みどころ
子どもたちに大人気の「いただきバス」シリーズの第5弾、テーマは「お月見」!
「さあ、おつきみの じゅんびでございバス」
バスとねずみたちが楽しくお月見の準備をしていると……、ぴょーんとはねるのが得意なうさぎがやってきて、大切なお団子を持っていっちゃった!
追いかけて、お団子を取り戻すことができるかな……!?
お月見って何をするの?
どうしてお月見をするの?
おはなしを楽しみながら、文化や風習に関する大切なことを、物語を通して知ることができます。
絵を見ながら……、
何を飾っている?
お団子の形は?
どんな風に並べている?
そして、おつきさまってどうしてお団子が好きなのかなぁ?
そんなことを探したり話したりしながら読んでいくともっと楽しくなりそうです。
この書籍を作った人
1961年東京生まれ。1991年講談社絵本新人賞を受賞して絵本作家デビュー。その後、絵本・読み物・紙芝居・作詞・保育あそびなどの創作活動をはじめる。絵本『しーらんぺったん』(世界文化社)『いただきバス』(すずき出版)、読み物『おひるねどうぶつえん』(すずき出版)、CDブック『ぼくのうたきみのうた』シリーズ(世界文化社)など。2011年。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」で、あそびうたが放送される。「ねこときどきらいおん」「げんきタッチ!」「おさんぽペンギン」など大好評。on airは続いている。2015年。NHK Eテレ「いないいないばあっ!」 4月からのリニューアルに参画。新しい人形劇の設定世界観+キャラクターデザイン+セットデザイン+原作を担当。新おねえさんのゆきちゃんの就任 曲「にこ にこ んぱ!」の作詞。遊びロケコーナーのBGMの作詞作曲も担当。
出版社からの内容紹介
世代を超えて愛され続ける「10ぴきのかえる」シリーズ、秋の読み聞かせにぴったりの1冊!
秋が近づいた夜のこと。ひょうたん沼では、10ぴきのかえるがお月見を心待ちにしています。みんなでお月見をするために、うしがえるさんやけろこちゃんに、招待状を出しました。
そして、いよいよお月見の日。今年は、10ぴきのかえるがすすきのはらに、すすきを取りに行くことになりました。ばったに道案内をしてもらい、すすきのはらに到着! 10ぴきのかえるは、みんなで協力して、一生懸命すすきをとりました。
ところが、帰り道のこと……。みんなですすきをかついでいると、なんとっ、まちがえるがお昼寝中のへびのしっぽを踏んでしまったのです。にげろ、にげろ、けろ、けろ、けろ! 10ぴきのかえるは、へびから逃げようとみんなで力を合わせます!
すすきを飾り、お月様にお団子をおそなえする――元気なお話のなかから秋の風習が伝わる絵本。
この書籍を作った人
1938年、東京都生まれ。第1回日本童話会賞、詩集『山が近い日』(理論社)で第13回野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。主な作品に、「10ぴきのかえる」シリーズ(絵:仲川道子/PHP研究所)、「ころわん」シリーズ(絵:黒井健/ひさかたチャイルド)、『クリスマスにくつしたをさげるわけ』(絵:ふりやかよこ/教育画劇)『くっきーだあいすき』(絵:岩村和朗/金の星社)などがある。2019年死去。
この書籍を作った人
1948年、東京都生まれ。主な作品として、絵本に「パオちゃん」シリーズ、「10ぴきのかえる」シリーズ(ともにPHP研究所)、『ころちゃんはだんごむし』をはじめとする「かわいいむしのえほん」シリーズ(童心社)、紙芝居に「コッコおばさん」シリーズ(童心社)などがある。
みどころ
絵本を開けば、そこに広がるのは大きな「みどりのおへや」。
よく見れば、ベッドに寝ているのはうさぎのぼうや。
もう、寝る時間かな。
おへやには、絵の額がふたつ、赤いふうせんに、黒いでんわ。
こねこが二匹いて、素敵なお人形の家もあります。
おばあさんが編み物をしながら、見守ってくれています。
おつきさまもおやすみの時間。
ぼうやは、お部屋の中のひとつひとつに声をかけていきます。
「おやすみ あかりさん」
「おやすみ あかいふうせん」
こねこさんに、てぶくろも、とけいさんもねずみさんも。
ほらほら、だんだん静かになって……
この絵本を読んでいるおともだち、みんなも。
おやすみなさい、いい夢を見てね。
1947年アメリカで初版が発売されて以来、世界中で読みつがれているこの絵本。小さな子どもたちは、この月の光に照らされた、ちょっぴり不思議な雰囲気の「みどりのおへや」が大好きなのです。ぼうやを中心に、まだあかりのついた部屋の場面から始まり、視点は壁にかかった絵の中へ、さらにお部屋の反対側の方へと移り、椅子の上にはいつの間にかおばあさん。ぼうやは一人じゃ寝れなかったのかな……時計の針の経過を見て想像をしながら夜のひとときを過ごします。
そして、ぼうやと「おやすみの儀式」をしながら、だんだんと暗くなる「おへや」と一緒に気持ちのよい眠りへと誘われていくのです。
淡々と、でも耳心地のいい繰り返しの言葉を聞きながら、一方で眺めているお部屋の世界はどんどん広がっていき。暗くて怖いと思っていた夜の世界も、ちょっとだけ素敵に思えてくる……そんな風に、絵本を通して世界中の子どもたちが「おやすみの時間」と仲良くなっていったのかもしれませんね。
この書籍を作った人
1910年アメリカ ニューヨーク州生まれ。こどもの本の編集者を経て、絵本作家になる。「おやすみなさいおつきさま」(評論社刊)、「たいせつなこと」(フレーベル館刊)、「おやすみなさいのほん」(福音館書店刊)などの作品がある。1952年没。
この書籍を作った人
ニューヨーク生まれ。 エール大学で建築学を学ぶ。マーガレット・ワイズ・ブラウンとのコンビで、「ぼくのせかいをひとまわり」(評論社刊)などの作品がある。
この書籍を作った人
1916年、東京・本郷に生まれる。東京帝国大学で国文学を専攻。戦後、「児童百科辞典」(平凡社)の企画編集者をふりだしに、児童文学の評論、創作、翻訳などにいくつもの大きな仕事をのこした。絵本の代表作に『きょうはなんのひ?』(福音館書店)があげられる。ライフワークのひとつに「落穂ひろい 日本の子どもの文化をめぐる人びと」(福音館書店)がある。1979年逝去。
みどころ
「やまびこ」という自然現象がユーモラスに描かれた、可愛らしいクマくんのお話です。まったく同じ返事が戻ってきても、クマくんはそれがやまびことは知らず楽しく会話を続けます。一見、こっけいな光景に思えるかもしれませんが、静かな月夜にたたずむクマくんの、純粋で一生懸命な姿に魅了される読者も多いことでしょう。お月さまと話すときのクマくんの表情には、平安が満ちています。お月さまへの贈り物は、一体何だったのでしょう。それは、クマくんが欲しかったものでもありました。落ち着いた青が基調のイラストからは、月夜の静けさが伝わってきます。
――(ブラウンあすか)
出版社からの内容紹介
お月様と、友達の水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星が、おやつ食べ食べバス旅行。バスで歌うプラネッツの歌「すいきんちかもくどってんかい♪」で、太陽系の名前も覚えよう。輝く黄色と配色にこだわった美しい絵本。巻末クイズつき。
出版社からの内容紹介
おつきみのしたくができました。おおはらぽんたは、おだんごのばんをしながら、月の出をまっていましたが……。
この書籍を作った人
1928年東京都生まれ。戦後早稲田大学に入学し"早大童話会"に所属、創作童話を志す。56年に「ぞうのたまごのたまごやき」を発表。以来「ぼくは王さま」シリーズをライフワークとして書き続ける。61年『ぼくは王さま』で毎日出版文化賞受賞。80年『あいうえおうさま』で絵本にっぽん賞受賞。84年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により巌谷小波文芸賞受賞。「寺村輝夫のとんちばなし・むかしばなし」「おはなしりょうりきょうしつ」「わかったさんのおかし」「かいぞくポケット」など、子どもに人気のシリーズが多い。2006年没。
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、教員生活を経て絵本の世界に入り、独自のはり絵の手法を用いて、繊細で心温まる世界を展開している。『ねこのえほん』(講談社)『そばのはながさいたひ』(佼成出版社)で2年連続でボローニャ国際児童図書展エルバ賞受賞。『いもとようこ うたの絵本T』(講談社)で同グラフィック賞受賞。
みどころ
あるばん、おばあさんが空を見上げておったまげた。
「こりゃ たいへんだ!」
何があったのかって…?見上げた空に浮かんでいたのは、ほそーいほそーいお月さま。
あれ、おばあさんこれって三日月じゃないの?
そんなことはおかまいなし、おばあさんは言います。
「おつきさまは まあるく なくっちゃ。」
お野菜いっぱいのスープをぐつぐつ煮込みます。
食卓を囲んでおつきさまとおばあさんは、スープをふう、ふう、食べています。
ああ、おいしそう。
おかげでちょっと太ったおつきさま。でも…
「まだまだ まあるく ならないねぇ」
おばあさんは台所にかけこむと、今度は大きなピザをこしらえて。
「いただきまあす」
ああ、これもおいしそう。
さらに、さらに…。
どれもこれも食べたくなる、おばあさんの料理。そして、少しずつ太っていくお月さまの顔の可愛らしいこと!おばあさんがどんどん太らせたくなる気持ちもわかるし、お月さまがいくらでも食べちゃう気持ちもわかる。奇想天外、でも、なんてチャーミングな物語なのでしょう。
ふくだじゅんこさんの描き出す、幻想的であたたかな世界にすっかり夢中です。
さて、おつきさまはおばあさんが思うようにまあるくなれたのでしょうか。
最後のページはお楽しみ!!
この書籍を作った人
武蔵野美術短期大学デザイン科卒業。グラフィックデザイナーとして活動したのち、絵本づくりを始める。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展フィクション部門入選3回。第5回ピンポイント絵本コンペ最優秀賞受賞。絵を描いた絵本に『あたしのまざあ・ぐうす』『どろぼうがないた』(冨山房インターナショナル)、『あまいね、しょっぱいよ』(グランまま社)、絵も文章も手がけた絵本に『こぐまくん、ないしょだよ』(大日本図書)などがある。
みどころ
青いズボンのチュッチュと、赤いズボンのチョピー。
2ひきの仲良しねずみの冒険を描いたシリーズ第2弾です。
夜、屋根の上を楽しく2ひきが散歩していると、お月さまがどこまでもついてきます。
まあるい、すてきなお月さま。
ねずみたちはお月さまが大好きです。
翌日、「ねえ チュッチュ。お月さまは ひるま どこに いるんだろう?」「どこだろうね チョピー。いっしょに さがしてみようか?」と話し合った2ひき。
いいお天気の野原を、お月さま探しに出発しました。
木の上にちょこんと見えるものや、家の中の黄色くて丸いもの。
「あれ、お月さまじゃない?」
2ひきは、そう思うたびに近づいてみますが、いつもちょっと違います。
おまけに怖い目にも遭いそうになって……!?
昼間のお月さま探しのページでは、所々に大きさの違う丸い穴あきしかけがあります。
次に何が出てくるのか、わくわくしながらページをめくる楽しさを味わえますよ。
読み聞かせにもおすすめです。
作者は「好きなもの」を絵本にすることが多いという新井洋行さん。
優しい月夜が大好きで、とくに満月の夜はウキウキするのだそうです。
小林ゆき子さんが描くかわいい2ひきの情景から、そんなウキウキが伝わってくる絵本です。
この書籍を作った人
1974年、東京生まれ。二人の娘の父。絵本作家・デザイナー。絵本に『れいぞうこ』(偕成社)、『いろいろ ばあ』(えほんの社)、『みず ちゃぽん』(童心社)、『どじにんじゃ』(講談社)、『おおごえずかん』(コクヨS&T)、『ころころぽーん』(ほるぷ出版)など多数。挿画に「パーシー・ジャクソン」シリーズ(ほるぷ出版)、「モーキー・ジョー」シリーズ(フレーベル館)など。くもん出版からは、「えほんとあそぼ」シリーズのほかに『ぴーかーぶー!』『カチン コチン!』(絵・小林ゆき子)の2冊がある。
この書籍を作った人
絵本作家・イラストレーター。主な絵本に『ハロウィンのランプ』『ブラザーサンタ』(岩崎書店)、『ポーリーちゃんのポケット』(教育画劇)、『おじいちゃんと日の出を見たよ』(佼成出版社)など。挿絵に『シュレミールと小さな潜水艦』(偕成社)、『あしたは晴れた空の下で』(汐文社)、『おひさまのワイン』(学研)、 『トトの勇気』(鈴木出版)などがある。その他、月刊保育絵本、グッツなど。日本児童出版美術家連盟会員。C.W.ニコル・アファンの森財団会員。
みどころ
夜は、子どもにとって、どんな存在なのでしょうか。
真っ暗で、何も見えなくて、怖いもの。
その暗闇からおばけがやってくるんじゃないかって、恐ろしいもの。
もっともっと遊びたいのに寝なければならない、悔しいもの。
そんな風に、ネガティブなイメージが多いかもしれません。
この絵本は、子どもたちが寝静まった夜が舞台。
それもきっと、10時や11時ではなく、2時か3時くらいの真夜中です。
自分が寝ている間に、いろんなものたちが、お外ではなかよくしている。
例えば……
「つきよに ナマズとやなぎ なかよし」
「つきよに ゆうびんポストとじてんしゃ なかよし」
「つきよに チョウチョとせんろ なかよし」
各ページに1組ずつ、「つきよのなかよしたち」が登場します。
子どもにとって夜のイメージが大きく変わることになるかもしれません。
中にはきっとお子さんが知らないものも出てくるでしょう。
(灯篭、ドラム缶、灯台など……)
これって何?と興味を持ったお子さんには、「これはね……」と説明してあげてくださいね。
お子さんの新しい世界が広がるはずです。
そして、「チョウチョとせんろは、どうしてなかよしなのかなぁ?」などと、「なかよしの秘密」を親子で探ってみるのも楽しいかもしれません。
大胆に描かれた井上洋介さんの絵もまた魅力のひとつ。お母さん、お父さん世代には、『くまの子ウーフ』の絵が、なじみ深いのでは?
じんわりした絵の具のにじみの中に、真夜中の静寂とどこか楽しげな逢瀬が、見事に表現されています。
この書籍を作った人
1931年東京都生まれ。第37回小学館絵画賞、第6回日本絵本大賞、第25回講談社出版文化賞受賞。画集に『木版東京百画府』(京都書院)、『電車画府』(パルコ出版)など。絵本に『まがればまがりみち』『あじのひらき』(福音館書店)、『でんしゃえほん』(ビリケン出版)、『あなぼこえほん』(フレーベル館)、『ぼうし』(イースト・プレス)、『ぶらぶらどうぶつえん』『わっ』『やまのばんさんかい』(小峰書店)など多数。漫画、イラストレーション、本の挿絵など、幅広く活躍。多彩な仕事を紹介した『井上洋介図鑑』(河出書房新社)がある。
出版社からの内容紹介
人種差別をなくしたいと考えられた絵本になります。 世界中の子供に読んでもらいたい絵本、 同じ地球に住んでいる世界中の人々に読んでもらいたいです。
この書籍を作った人
1965 年東京生まれ。絵本作家。児童文学作家。公益社団法人日本文藝家協会、絵本学会、子どもの本・九条の会会員。主な絵本に『ふねひこうきバスきしゃ』(くもん出版)、『ちいさな いえでのものがたり おかあさん!』(冨山房インターナショナル)、『しんでくれた』(谷川俊太郎・詩、佼成出版社、第25 回けんぶち絵本の里大賞のびばからす賞)、『やきざかなののろい』(ポプラ社、第6回リブロ絵本大賞、第9 回ようちえん絵本大賞)、『このすしなあに』(ポプラ社)、『とうめいにんげんのしょくじ』(ポプラ社)、『そのこ』(谷川俊太郎・詩、晶文社)、『せんそう――昭和20年3月10日東京大空襲のこと』(塚本千恵子・文、東京書籍)、『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』(自由と平和のための京大有志の会・文、朝日新聞出版、第7 回ようちえん絵本大賞)、その他多数。絵本作家として毎年、日本全国の図書館やイベント会場や書店等で、絵本の読み聞かせやライブぺインテングに取り組んでいる。
出版社からの内容紹介
わらじ編みのおばあさんが,月のおじいさんにもらったトウモロコシの種から,男の子が生まれ…….チワン族のお話.
この書籍を作った人
1918年、大阪府生まれ。幼児期をウラジオストク、少年時代を長崎県で過ごし、その後東京へ移る。多摩帝国美術学校図案科卒。日本童画会賞受賞。『いたずらうさぎ』(福音館書店)ほかで小学館絵画賞、『やまなしもぎ』(福音館書店)で国際アンデルセン大賞次席、『だいちゃんとうみ』(福音館書店)で第15回絵本にっぽん賞、『絵本西遊記』(童心社)で第45回産経児童出版文化賞などを受賞。主な絵本に『だいちゃんとうみ』『馬ぬすびと』『やまなしもぎ』(以上、福音館書店)、『かさ』(文研出版)、『ともだち』(講談社)など多数。挿絵を手掛けた児童文学作品に『みどりいろのたね』(作:たかどのほうこ/福音館書店)、『二分間の冒険』(作:岡田淳/偕成社)などがある。2016年8月2日逝去。