人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本
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絵本紹介
2024.03.25
入園おめでとうございます。親から離れて初めての集団生活。親にとっても子どもにとっても、一番の心配の種はやはり「友だちできるかな……」ではないでしょうか。
友だちって何? どうやったら友だちになれるの? そんなふうに身構えなくても、絵本の中の動物たちや子どもたちが教えてくれます。たとえば『こぐまのともだちはどこ?』のなかで、「ともだちはどこ?」と一緒になって探す2匹のクマをお手本にしてみてください。(隣にいるのは、もしかして?)他にも、「わっはっはー」と笑い合ったり、みんなでおにぎりを食べたり、喧嘩したって次の日には仲直り。たくさんの友だちのかたちを知れば、「友だちできるかな」という不安も、「友だちを作らなきゃ」という焦りも吹き飛びます。できないことを助け合い、広い世界へ連れ出してくれる姿には、「友だちっていいかも」と思ってもらえるはず。
はじめてだって、きっと大丈夫。たくさんの友だち絵本に勇気をもらって、胸を張ってお子さんを送り出しましょう!
出版社からの内容紹介
ぼくとクッキーは大の仲良し。ところが一大事!突然、クッキーが引っ越してしまうことになって…。初めて経験する別れの気持ちを描いた心にしみるお話。
この書籍を作った人
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。幼年童話「こぐまのクーク」物語シリーズ(KADOKAWA)など、やさしい絵と文で描くどうぶつたちが主人公の作品で知られる。また、文を担当し、子どもの気持ちをこまやかに描く作品も多い。主な共著絵本に『かあちゃんえほんよんで』(文/かさいまり 出版社/絵本塾出版)、『ばあちゃんのおなか』(絵/よしながこうたく 出版社/教育画劇)、『ねえたんが すきなのに』(絵/鈴木まもる 出版社/佼成出版社)、『ぴっけやまの おならくらべ』(絵・村上康成 出版社/ひさかたチャイルド)、『ちいさいわたし』(絵/おかだちあき 出版社/くもん出版)など。日本児童文芸家協会会員。日本児童出版美術家連盟会員。
みどころ
人にはそれぞれ得意なこと、不得意なことがあって、誰かが得意なことでも、ほかのだれかは不得意なこともあります。この絵本は、そんなおたがいの“ちがい”が紡ぎあげた友情のお話しです。
うさぎのミミは、おそうじが大好きで大得意。おへやはいつもピカピカです。今日は、くまのドンを招待しています。ドンは、
「ミミの うちは きれいで きもちが いいなあ」
とうれしそう。ですが、ドンはおそうじが好きじゃないので、どろのついた足でミミのおへやを汚しても気にしません。
そして、
「ぼく ちょっと おなかが すいたなあ。なにか たべるもの ある?」
と言います。
実は、ミミはお料理が苦手。食べるものは用意してありません。そこで、ドンは持ってきたおせんべいを、ぱりぱりぱりと食べ始めます。おせんべいのかけらは、ミミのきれいなおへやに飛びちります。
「あらら……」
ミミはこまりがお。
こんどは、ミミがドンのおうちにやってきました。
お料理が得意なドンは、おいしそうなニンジンドーナツをミミに作ってくれていました。ですが、洗い物もおそうじも苦手なドンのおうちは、お皿もフォークも汚れたまま。二人は手でドーナツを食べます。
それから何日か過ぎましたが、ミミはドンのおうちを訪ねることはありませんでした。
「ぼくの うちが ちらかってるから、いやに なったのかなあ」
と思い、ミミのすきなビスケットを作って届けにいきます。
こんなふたりは、友だちになれるのでしょうか……?
得意なこと不得意なことって、それぞれ違いますよね。ミミもドンも、自分の得意なことをいかして、友だちの困っていることを助けてあげようとします。だって、友だちだから。
この絵本は、いもとようこさんの「ともだちってすてき!」シリーズの1冊で、アメリカの子どもの本の作家、ジュディ・デルトンの原作に、いもとさんがほれ込み、「助け合って生きていくってすてきだね」というテーマを描いています。
人はみんな違っていますが、だからこそ「得意なこと、好きなことをいかして助け合っていこう」と、今の時代の子どもたちへメッセージを楽しく伝える、優しい友達関係を描いた絵本です。
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、教員生活を経て絵本の世界に入り、独自のはり絵の手法を用いて、繊細で心温まる世界を展開している。『ねこのえほん』(講談社)『そばのはながさいたひ』(佼成出版社)で2年連続でボローニャ国際児童図書展エルバ賞受賞。『いもとようこ うたの絵本T』(講談社)で同グラフィック賞受賞。
みどころ
絵本を開くと、画面いっぱいに色んな表情をしたユーモラスなかいじゅうたちがふたりずつ登場します。
思いっきり笑っていたり、怒っていたり、泣いていたり、取っ組み合いのケンカをしていたり。
なにをしているのかな?・・・そう、彼らは遊んでいるのです。
笑わせていたり、怒らせちゃったり。時には恥ずかしくてお互いモジモジしていたり、知らんぷりしたり。
なんか、こういう子どもたち、よく見るよね。
ふたりでいると、いつも微笑みあってるだけじゃない。
これが「ともだち」なのかな。
じゃあ、ともだちとケンカしちゃった時はどうすればいいのかな。
どうすれば、自分の気持ちを相手に伝えられるのかな。
オランダの絵本作家ミース・ファン・ハウトによる、子どもたちが気持ちを素直に伝えるための“こころ絵本”。
内容はとってもシンプル。気持ちの変化が一言でつづられていくだけ。
だけど、まっくろな背景に色鮮やかで生き生きと踊る様な線で表現されたかいじゅうたちを見ていると、その時々の状況がどんどん頭に浮かんできます。
「このふたりは出会ったばかりかな」「この子がいたずらばかりしているんだろうな」「キライなわけじゃないけど・・・」
そんな風に読み解いていきながら、子どもたちの「ともだちづくり」を応援してくれているのがこの絵本なのかもしれません。ともだちができた時の、子どものドキドキした気持ちにも寄りそってくれます。
それにしても、かいじゅうたちのチャーミングなこと!!大人の私だって、なんだか真似して描いてみたくなっちゃいます。
この書籍を作った人
1962年オランダ南部のハペルトに生まれる。幼いころから父親がたくさんお話を聞かせてくれるという環境で育ち、自身も読書が大好きなだけではなく、絵を描くことに夢中になった。高校卒業後、デッサン、テキスタイル・アート、グラフィックデザインなどを学び、その後フリーのイラストレーター、デザイナーとして活躍する。本書および姉妹本の『ともだちになろう』(西村書店)は、子どもたちの感情に寄り添った新しい試みによる表現で、各国で高い評価を得ている。現在はオランダ北部にある小さな町ティナールロで夫と3人の子どもたちと暮らす。
この書籍を作った人
1978年神奈川県生まれ。東京学芸大学大学院修了。第37回日本児童文学者協会新人賞受賞。作品には絵本『おむすびにんじゃのおむすび ぽん』『おむすびにんじゃのおいしいごはん』(リーブル)、訳書に『ともだちになろう』『どんなきもち?』(西村書店)など。絵本や児童書を読み、味わうところから、さらに、それぞれが絵や詩や物語などの創作表現を楽しむことにつなげる「読み遊び」のワークショップ活動も大切にしている。
みどころ
ひとりぼっちのくろくまくん。あまりに寂しいので友だちを探しに行くことにしました。でもどこを探せばいいのかな?
わからないまま進んでいると1匹のちゃくまくんに出会います。どうやらちゃくまくんも友達を探している様子。「そうだ、いっしょにさがそうよ」意気投合したふたりは力を合わせ、友達探しの大冒険に出かけます。
「ともだち、いないなぁ」「まだ見つけたことないもんね」二人は友達を見つけたときのための練習することに。もう友達見つかったんじゃない?と声をかけたくなりますが、交互にかくれんぼしあう二人は真剣そのもの。そのちぐはぐな行動がとてもユーモラスです。
作者はプラハ生まれの作家ペトル・ホラチェック。『あおいろペンギン』(化学同人)や『ちょうちょちょうちょ』(主婦の友社)などの絵本を手がけるほか、グラフィックデザイナーやイラストレーターとしても活躍する作家さんです。コラージュを多用した色鮮やかなイラストには深みがあり、温かなストーリーにぴったりとマッチしています。
「いないとおもったともだちが、ちかくにいた!っていいでしょ」のんびりなふたりらしい、なんとも微笑ましいやりとり。フワッと温かい空気に包まれます。大切な人との出会いと、共に過ごす幸せな時間をぜひ親子で堪能してくださいね。
この書籍を作った人
訳書に、アントワネット・ポーティス作『まって』(日本絵本賞翻訳絵本賞:あすなろ書房)など。
出版社からの内容紹介
森の動物たちが集まれる家作りを提案したねずみくん。仲間が特技を活かして作っている中、自分が役に立てたのか不安になり…。
幼稚園、保育所で大好評を博した、月刊絵本「キンダーおはなしえほん」2022年度4月号市販化。
この書籍を作った人
1969年、東京都生まれ。東京造形大学デザイン科卒業。絵本の作品に『パンちゃんのおさんぽ』『いたずらコヨーテキュウ』『やまねのネンネ』(BL出版)、『みけねこキャラコ』『こねこのポカリナ』『おはなのすきなトラリーヌ』『トラリーヌとあおむしさん』『ふゆのひのトラリーヌ』(偕成社)、『チップとチョコのおでかけ』『チップとチョコのおつかい』『チップとチョコのおるすばん』(文溪堂)、『くりちゃんとひまわりのたね』『くりちゃんとピーとナーとツー』(ポプラ社)、『チリとチリリ』『チリとチリリ うみのおはなし』『チリとチリリ まちのおはなし』(アリス館)、『ねずみちゃんとりすちゃん おしゃべりの巻』(学習研究社)、『カロンとコロン はるなつあきふゆ4つのおはなし』(主婦と生活社)、『ねこのかあさんのあさごはん』(小学館)など多数。千葉県在住。
みどころ
ある日、おにたくん一家が人間の町にやってきました。おにぎり屋さんのお父さんは、おいしくて元気が出るおにぎりをもっとたくさんの人に届けたくて、雲の上からやってきたのです。
「おにの おにぎり にーぎにぎ はっ!
パワーを こめて にーぎにぎ はっ!」
近所の園に通うことになったおにたくん。緊張してなかなかみんなとお話できません。でも、お父さんが作ってくれたおにぎりのお弁当を見たみんなが、興味津々で集まってきました。そこで、おにたくんはお父さんに、山登りの日にお友達と一緒に食べるおにぎりをたくさん作ってくれるようお願いします。
山登り当日、お父さんは張りきっておにぎりをたくさん作りました。ところが、用意したおにぎりは……。お父さんの勘違いにおにたくんは、がっかり。子どもが喜ぶと思ってがんばった時に限ってなぜかこういうことが起こってしまうので不思議ですよね。
でも、お父さんは落ち込んでなんかいられません!早くおむすびを作らなければ!こうしてお父さんは誰も見たことがないような特別なおにぎりを作って山の頂上へと届けました。それを見た子どもたちは大喜び。
いったいどんなおにぎりだったんでしょう。予想が当たっても当たらなくても、楽しいシーンが待っていますよ。
出版社からの内容紹介
子どもは、教えてもらうのが上手。
誰から何を習えば一番楽しいかよーく知っているからです。
子どもが身の回りを観察してみたくなる、そんな絵本です。
この書籍を作った人
1945年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。絵本作家。子どもから大人まで幅広いファンを持ち、その著作は450冊を超える。世界中で翻訳出版されている絵本も数多い。『かくしたのだあれ』『たべたのだあれ』(以上文化出版局刊)でサンケイ児童出版文化賞受賞のほか、ボローニャ国際絵本原画展等、受賞多数。『みんなうんち』(福音館書店刊)、『きいろいのはちょうちょ』(偕成社刊)、『さる・るるる』(絵本館刊)などの作品がある。
出版社からの内容紹介
いつも仲良しの友だちと今日は大げんか。
もう口なんかきいてやるもんか、と思ったけれど、やっぱり気になって仕方がない。
劇的な構成で子どもの心理を的確に描いています。ロングセラーです。
この書籍を作った人
アメリカ、イリノイ州生まれ。大学卒業後、保育園に勤めているときに絵本の楽しさを知り、作品を書くようになる。初めての絵本『木はいいなあ』によりコルデコット賞を受賞。そのほかの作品に、センダックと組んだ『きみなんかだいきらいさ』や、幼年童話『あのね、わたしのたからものはね』などがある。
この書籍を作った人
1928年アメリカ ニューヨーク生まれ。アート・スチューデンツ・リーグに学ぶ。『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房)でコールデコット賞を受賞、その他『まよなかのだいどころ』『まどのそとのそのまたむこう』(冨山房)、『ロージーちゃんのひみつ』(偕成社)、『そんなときなんていう?』(岩波書店刊)、『くつがあったらなにをする?』(福音館書店刊)、『ミリー』(ほるぷ出版)他多数の作品がある。国際アンデルセン賞、ローラ・インガルス・ワイルダー賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞などを受賞。
この書籍を作った人
東京都生まれ。作家・翻訳家。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。その後、児童文学の創作と翻訳をはじめる。創作絵本に『3じのおちゃにきてください』『まいごのまめのつる』(ともに、福音館書店)、訳書に『3びきのかわいいオオカミ』『きみなんかだいきらいさ』(ともに、冨山房)、『はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし』『クレンショーがあらわれて』(ともに、フレーベル館)、『ふくろのなかにはなにがある?』(ほるぷ出版)などがある。
みどころ
ぞうくんはとってもやさしくて、
みんなぞうくんのことが大好きなのですって。
それは、ぞうくんが、いつでもどこでも、きちんとあいさつができるから。
道でお友だちにばったり会ったとき。
バスを待つとき。
バスの中が混んできたとき。
お友だちの家に遊びに行ったとき。
お友だちが家に来てくれたとき。
家族でごはんを食べるとき。
などなど、子どもたちの生活の中でおなじみの場面ばかりなので、ぞうくんのことがとても身近に感じられるのが、うれしいところ。
「こうしたらダメ」ということはいっさい書かれていなくて、ぞうくんの言葉やふるまいから、「こうしたらいいんだ」と自然に思わせてくれるのも素敵です。
「こんなときはなんて言えばいいかな?」「ぞうくんみたいにできるかな」「こうしてもらうとうれしいね」と、親子で話しながら読むのもいいですね。
礼儀正しくて優しいぞうくんの姿を見ていると、ルールやマナーって、「守らなければならないもの」だから守るものではなく、みんなが気持ちよく毎日を過ごせるためのものなのだなーと、改めて気づかされます。
作者のリチャード・スキャリーさんは、アメリカの児童文学作家。スキャリーさんが描き出すやさしい物語と温かみのある絵は、世代をこえて世界中で愛されています。
この本も1963年に描かれたものなのです。時を経ても色あせることのない素敵な絵本を、ぜひお子さんと一緒に楽しんでみてください。
この書籍を作った人
1919年、アメリカ・ボストン生まれ。アメリカの児童文学作家、イラストレーター。絵本『スキャリーおじさんのにぎやかなビジータウン』(BL出版)をはじめとする「スキャリーおじさん」シリーズは、世界中で愛されるロングセラー。作品に、『よこながきしゃぽっぽ』(大日本絵画)、『あかちゃんうさぎとパパ』、『おやすみなさい くまくん』(好学社)など多数ある。1994年死去。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。詩集に『ひつじがいっぴき』(フレーベル館)、『五つのエラーをさがせ!』(大日本図書)。創作絵本に、『クリスマスべんとう』(教育画劇)、『なになになあに?』『はたらくんジャー』(フレーベル館)、『からだのなかでドゥンドゥンドゥン』(福音館書店)、『おっとっと』(講談社)。絵本の翻訳もてがけ、クリス・ホートン作『どうする ジョージ!』(BL出版)で第62回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。『クマのパディントン』『ともだちからともだちへ』(理論社)、『ヨセフのだいじなコート』(フレーベル館)、『ピッツァぼうや』(らんか社)、『どんないえにすみたい?』(好学社)、『おなじそらのしたで』(ひさかたチャイルド)、『クレヨンからのおねがい!』(ほるぷ出版)他多数。
出版社からの内容紹介
名アニメーター・二木真希子が残した唯一のオリジナル絵本「小さなピスケ」シリーズ。
多くのファンからの熱いリクエストを受け、装丁を一新し、新装版として復刊決定!
スタジオジブリが放つ数々の名作群は、私たちの心に残る作品として、子どもから大人まで愛され続けています。
そんな数多あるジブリ作品の中でも、特に記憶に残る思い出のシーンの作画を多く担当された稀代のアニメーター・二木真希子さん。ジブリ映画のクレジットでそのお名前をご覧になった方も多いかも知れません。
以下に二木さんが携わったとされる代表的なジブリ作品の名場面を列記してみます。
◇「風の谷のナウシカ」:砂州で王蟲の仔を止めようとするナウシカ
◇「天空の城ラピュタ」:パズーとシータの屋根の上での出会いと鳩の餌やり/ロボット兵の肩の上を走り回るキツネリスたち
◇「となりのトトロ」:メイが小トトロを追跡/おたまじゃくし発見/トトロのドンドコ踊りと発芽〜夜空を覆う大樹の完成
◇「魔女の宅急便」:風になびく草の丘に寝転ぶキキ/雁の群れに遭遇するキキ
◇「おもひでぽろぽろ」:紅花を摘むタエ子
◇「もののけ姫」:巨樹とコダマたち/シシ神の足下で成長しては枯れる草花
◇「崖の上のポニョ」:水魚の上を疾走するポニョ
思わずその場面が脳裏に浮かぶ、素晴らしいシーンの数々を描かれた二木さん。そんな彼女が遺した唯一のオリジナル絵本が、「小さなピスケ」シリーズです。
ひとり立ちをし、
丘の上にある大きな木の根もとでくらしはじめたピスケ。
ある日、家の近くの茂みの下で、巣から落ちたカラスの子が泣いているのを見つけます。
「夜は冷えるわ。わたしの家にいらっしゃい。」
ピスケにできた、はじめての大切なともだち---。
(『小さなピスケのはじめてのともだち』本文より)
2016年に亡くなられた後、一周忌を機に、映像研究家の叶精二さんなどの呼びかけにより、SNSなどを通じて復刊リクエストが高まり、弊社への問合せも日増しに高まっています。
宮崎駿監督や美術監督の男鹿和雄氏からも、自然描写や想像の世界の木々の力強さ・透明感を絶賛されていた二木さん。そんな二木さんが得意とした動植物への描写が満載のこのお話は、主人公・ピスケをめぐるストーリーはもちろん、繊細で温かみのある絵柄が存分に味わえるとして、多くのファンの方からの共感を呼びました。
このたび、二木さんの生前の希望に沿って、漢字や書体などを新たに再編集し、レイアウトもすべて組み直す形をとりました。オリジナルの魅力を活かしながら新装刊を目指す『小さなピスケのはじめての友だち』。その魅力を、この機会にぜひお手にとって直接ご覧ください。
みどころ
ぼくたちチーム。もーちゃんの近くにいて、もーちゃんしか知らない。ラッパを持って、たいこを持って、ぷぷぷっぷー、タタタンターン、そーっとそーっと応援するの。
もーちゃんが怖がっていたら、真っ暗な空の上だって、おばけが出そうな暗い廊下だって、なんのその。いつだって、がんばって応援する。本当はちょっとぼくたちも怖いけどね。もーちゃんが眠れないって言ったら、ぼくたちチームは……。
おもちゃ箱から出てきたのは、赤と青のなんだか不思議な姿をした二人、ぼくたちチーム。もーちゃんの見えるところ、見えないところで大活躍。応援に成功すれば得意顔、怖い時はおびえ顔。ちょっとばかり頼りないところも魅力的。こんなチームがそばにいたら、もーちゃんだって安心するよね。巻末にはオリジナルの「おやすみのうた」の楽譜つき。トムズボックス土井章史氏プロデュース作品です。
この書籍を作った人
大阪府出身,東京都在住。セツモードセミナー卒、「あとさき塾」出身。
みどころ
ぼくとくろは、いつも一緒。遊ぶときも、寝るときも。自転車に乗って、少し離れた草原まで行くこともある。でも今日は、くろが急に走りだした。いつもの大きな木をこえて、線路をこえて、道路もこえて。
「わん わん わん」
「まって、まって」
それでも、くろは走りつづける。どこまでいくの? もう帰ろうよ。しばらくすると、あおいにおいがしてきて……。
いつもの道をはずれて、くろが連れていってくれたのは、思わぬ場所。少しこわい思いもしたけれど。母ちゃんにもちょこっと怒られたけど。それはとっても素敵なところ。
少し遠くへ。少年と犬の日常の世界が広がった日のできごとを、躍動感あふれる力強い線と美しい色彩で生き生きと描きだしたこの絵本。繰り広げられるのは、目の前を勢いよく過ぎていく電車や、激しい風にうなる木々、嬉しくてはしゃいだ時間や、まっくろやみを駆け抜けた瞬間など、感情と景色が一体となった印象的な場面の数々。そして、すべてを優しく包み込む母親の体温。
ぼくにとっても、くろにとっても、きっと忘れられない一日になったのでしょうね。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。2013年『しろねこくろねこ』(Gakken)でブラチスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞。2019年『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展金牌を受賞。他に『しろとくろ』(講談社)、『でんしゃ くるかな?』(福音館書店)、『やまをとぶ』(岩波書店)、『ねこのゆきちゃん』(ミシマ社)など。現在は神奈川のいろいろな生きものが暮らす里で、家族と山を眺めながら、創作をしている。
文:栗田奈緒子 編集:木村春子