絵本紹介
2024.06.20
「だっこーー」大きな声でさけんだら、やってきたのは……らっこ? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『だっこ だっこ らっこ』。思わず、クスっと笑ってしまうような言葉遊びの赤ちゃん絵本。いったい、どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「ママ、だっこーー!」
大きな声でさけんだら、やってきたのは……らっこ?
らっこなんて、よんでないよー。
「だっこ だっこーー!」
「だっこ だっこー だっこーー!」
あらら、またまた。
「もう、だっこ だっこ だっこ だこだこだこだこ……」
すると今度やってきたのは!?
小さな男の子がだっこをしてもらいたくて、大きな声で必死にさけぶその姿。あちこちでよく見る愛らしい光景ですよね。でも、いつもすぐにだっこしてもらえる状況だとはかぎりません。当人たちにとっては、なかなか大変なやりとりです。
そんな時、もし「だっこ」じゃなくて「らっこ」がやってきちゃったらどうする? しかも、何回も何回も。そんなの、いくら泣いていたとしても、面白いに決まってますよね。涙を流しながら、吹き出しちゃう子だっているんじゃないかな。そんなやり取りが想像できる、ねこしおりさんによる楽しい文章に、植垣歩子さんのユーモラスでかわいいかわいい絵がついて。
何度でも読みたくなる素敵な赤ちゃん絵本が登場しましたよ。
肩の力がぬけて……
「だっこ」がテーマのふんわり優しい赤ちゃん絵本かなと思って読んでみると、その展開にびっくり! 思わずクスクスッと笑ってしまうような言葉遊びの面白さ。それがこの絵本の魅力です。毎日を必死で生きている赤ちゃんや小さな子どもたちにだって、こんな風に肩の力を抜いてくれるような絵本が必要なのかもしれませんよね。でも、そうは言ってもやっぱり「だっこ」してほしい気持ちはなくなりません。安心してくださいね、最後にはちゃーんと「ぎゅっ」の場面があります。親の気持ちにも、子どもの気持ちにも寄り添ってくれる、あたたかな一冊です。
この書籍を作った人
幼稚園勤務、赤ちゃん教室の「絵本の時間」担当、書店員などを経て、町の小さな書店をディスプレイする活動や絵本のイベントの企画などをしている。著書に絵本『はなちゃんとぷーのおみせやさん』(絵・大島妙子 小峰書店)、『あ、あ!』(絵・高橋和枝 偕成社)、さわださちこ名義の著書に『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)、『ちょっとの時間で魅力up!!本棚のディスプレイ』(全国学校図書館協議会)などがある。
この書籍を作った人
1978年神奈川県生まれ。和光大学芸術学科日本画専攻卒業。絵本作家。登場人物や物語の世界をユーモラスに描きつつ、どこかのんびりした画風に定評がある。主な作品に『にんじんだいこんごぼう』(福音館書店)、『すみれおばあちゃんのひみつ』(偕成社)、『アリゲールデパートではたらく』(ブロンズ新社)、「おやさいむら」シリーズ(佼成出版社)、『ようかいおふろ』(ほるぷ出版)、『かめのカメリさんおうちをなおす』(理論社)、絵を担当した作品に『おもちのおふろ』(文・苅田澄子 Gakken)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。