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- ためしよみ
絵本紹介
2024.06.17
「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」。春から夏へ、夏から秋へそして冬へと季節は静かに巡っていき……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ』。グッと落ち着いた雰囲気に引き込まれるaccototoさんの最新作。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
やさしい風が吹いてきて、ひらりと散った桜の花びら。その花びらがそっと触れたのは葉っぱの上のさなぎです。さなぎはやがてちょうちょとなり、たんぽぽの綿毛にすっとおります。雨が触れたのは、カエルの頭。セミの鳴き声は遠く丘まで飛んでいき、ふくろうの小さなまばたきは……。
「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」
どこからか聞こえてくる、呼びかけの言葉のくりかえし。まるで絵本に登場する生き物たちが順番にバトンを渡し、季節をリレーしているようにも感じられ、その一瞬一瞬がとても愛おしくなってくるのです。
最初に登場するのは、真っ白な背景に浮かび上がる満開の桜の枝先から、花びらがひらりと散る瞬間。まるで本当に風が吹いたかのよう。
さなぎから成長したちょうちょがすっとおりたのは、たんぽぽの綿毛の上。その綿毛は、やがて風にまかせて空に飛び立っていき……。さりげなく切り取ったように見える場面でも、「じゅんばんですよ」の言葉から、季節にまつわる様々な物語を想像することができます。
春から夏へ、夏から秋へ、そして冬へと季節がめぐっていく様子を、美しく静かな風景で描き出しているのはaccototoさん。晴れ渡る空に浮かぶ雲や、一面に降り注ぐ雨、どんどん色を変えながら夜へと近づいていく空や、積もり続ける雪。自然の営みを間近で感じながら暮らしているお二人だからこそ、その繊細な色彩の変化や空気感に実在感が伴います。
「当たり前のように巡ってくる季節や一日一日は、とてもかけがえのないものなのだと気づきました。遥か昔から続いてきた終わりのないリレーが、これからもずっとずっと続いてほしいと願っています。」とおっしゃるaccototoさん。
親子でじっくり眺めながら、思いつくままに様々な会話を広げてみてくださいね。
空を見上げれば
この絵本を読んでいる今は、どんな季節? どんな生き物たちが活躍して、どんな花が咲いている? 空の色は? 風は吹いている? 今の季節は好き? それとも苦手? 絵本と全く同じ景色が見つけられなかったとしても、なんだか身の回りにある小さな瞬間を探しにいきたくなってくるのです。空を見上げれば、聞こえてくるかもしれない「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」の声。あ、くまさんののんびりあくびが風にのって飛んできた……!?
この書籍を作った人
あきこ”acco”と、としお”toto”で accototo (アッコトト)。絵本、イラスト、壁画などを夫婦で制作している。おもな絵本に「うしろにいるのだあれ」シリーズ(幻冬舎)、「ポポくん」シリーズ、『まぜて まぜて』(PHP研究所)、『だれのあしあと』『いただきまーす』『ごちそうさま』(大日本図書)、『のぞいてごらん』などの「ごらん」シリーズ、『あいうえおりょうりめしあがれ』(イースト・プレス)、『そんなに みないで くださいな』(KADOKAWA)、『なにまってるの?』(文溪堂)、など。絵本はいろいろな国で翻訳出版されている。エッセイに『絵本作家の森のいえ便り』(幻冬舎)がある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。