絵本紹介
2024.06.18
梅雨入り前から真夏のように暑い日もあって、今年も猛暑になりそうという天気予報を見るたびにため息まじりになりますが……照りつける日差し、真っ青な空にもくもく入道雲。海やプールの水しぶき、響くセミの鳴き声、スイカやかき氷ののどごし、美しさと儚さに酔いしれる大花火。まぶたを閉じれば呼び起こされる、大好きな夏の風景や感触、あぁやっぱり夏は楽しい! 待ち遠しい!
今回はひと足早く夏に出会える絵本が大集合です。
くいくい、あつあつ、ひんやり、足の裏から感じる大地や地球。はだしで歩く楽しさを思い出す絵本。主人公は街歩きが大好きなソフトクリームの紳士?! 幾度となくおとずれるピンチをどう乗り切るのかご覧あれ! 大好きなおさるのジョージ×アイスクリーム、全開の高畠那生さんワールド×海のおはなしなど、今からフルスロットルで夏気分を味わえる本が揃いました。
暑さもひっくるめて一年一度きりの季節、登場人物たちのように体いっぱい感じたい。ページをめくりながらウズウズしてきます。待っているね、夏!
みどころ
あ、あ、カラスがスイカをつついてる。こらぁ! ガァッと鳴いて飛びたったカラスを追って、女の子ははだしのまま畑の外へ。道路の上をはだしで歩くと、ちっこい石が足の裏にくいくいあたる。あれれ、どこも全部感触がちがう。ふんわりしてたり、硬かったり、じんめりしていたり、乾いていたり。足の裏をべったりつけて歩くと、道路の王様になった気分!
公園までやってくると、はだしの足の裏は土の上。川の土手から一気に川へ。ひんやりした川砂が、足の甲の上をすべっていく。川の音がする。風の流れる音がする。立ちどまって目をつぶってみると……。
はだしで踏みしめる地面、足の裏で感じる地球。女の子の様子を見ているだけでドキドキしてしまうのは、はだしで歩くことなんて最近なかったから? それともどこかで記憶しているあの感触を思い出したから? 直接触れるだけで、世界の見え方が変わる。呼び起されるのは身体感覚。その強いメッセージを石川えりこさんの描く柔軟でダイナミックな絵によって、気持ちよく受け取り、体験することのできる1冊です。
この書籍を作った人
1958年、山口県生まれ。児童文学作家、ノートルダム清心女子大学教授。0歳から100歳まで絵本の読みあいを続ける。主な作品に、『かあさんのしっぽっぽ』『よるのとしょかんだいぼうけん』『マネキンさんがきた』(以上、BL出版 )、『こくん』(童心社)、『『小さいベッド』(偕成社)で産経児童出版文化賞、『おねいちゃん』(理論社)で野間児童文芸賞、『チャーシューの月』(小峰書店)で児童文学者協会協会賞受賞。第1回日本絵本研究賞受賞。
この書籍を作った人
1955年福岡県嘉麻市生まれ。横浜市在住。 デザイナーを経て、 フリーのイラストレーター・絵本作家となる。 幼少期の体験をもとに描いた「ボタ山であそんだころ」(福音館書店)は 2015年に第46回講談社出版文化賞絵本賞及び 2017年に台湾でOpenbook最佳童書を受賞。 同作品は2015年にブラティスラヴァ絵本原画展へ出展。 『あひる』(くもん出版) 『てんきのいい日はつくしとり』(福音館書店) こどものとも『ことしのセーター』(福音館書店) こどものとも『しんやくんのマラカス』(福音館書店) 『流木のいえ』(小学館) 『かんけり』(アリス館)ミュンヘン国際児童図書館の目録『ホワイト・レイブンズ』入選/JPIC絵本大賞4位 『しぶがき ほしがき あまいかき』令和元年度社会保障審議会福祉文化財推薦作品特別賞/2020児童福祉文化賞推薦作品受賞 挿絵では 『またおこられてん』文/小西貴士(童心社) 『こくん』文/村中李衣(童心社)2020年新潟県課題図書 『あららのはたけ』文/村中李衣(偕成社)2020年坪田譲治文学賞/JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『ねこのこふじさん』文/山本和子(アリス館)JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『おれ、よびだしになる!』文/中川ひろたか(アリス館)2020年度全国課題図書/BIG2020日本推薦絵本として出展(シンガポール)/第4回日本こどもの本研究会作品賞 他多数
出版社からの内容紹介
天真爛漫でオテンバ
そんな女の子が「みて!」と言います。
なにを?
言葉が少ないのに
主人公の女の子
それを見ている人
タコの気持ちまで
手にとるようにわかってきます。
--高畠那生さんからのメッセージ--
見て見て!って子どもは、そればっかり言うよなー。
その時に見なかったら、あきらめずにしつこく言い続けるし
声も大きくて、うるさいなぁ。なんて思っていたときに
このアイデアがうかびました。
でもこれ、大人になった今でもやってるような気がする。
この書籍を作った人
1978年岐阜県生まれ。絵本作家。主な作品に『ぼく・わたし』『チーター大セール』(ともに絵本館)『いぬのムーバウいいねいいね』(講談社)『おまかせツアー』(理論社)『ぞうの金メダル』(作・斉藤洋/偕成社)『飛んでった家』(作・クロードロワ/訳・石津ちひろ/長崎出版)がある。
出版社からの内容紹介
うだるような夏の午後,チララン,チラランという音がきこえてきました.アイスクリームやさんの車だ! ジョージはいてもたってもいられません.お店のひとが車をはなれたので,ジョージはかわりに,ならんでいた子どもたちにアイスクリームをじゃんじゃんくばりますが…….おなじみおさるのジョージの楽しい絵本.
この書籍を作った人
ハンス・アウグスト・レイ(1898-1977)マーガレット・レイ(1906-1996)ハンスはドイツのハンブルクに生まれ、幼い頃から、絵を描くことと動物が大好きでした。マーガレットも同じ町の生まれ。ともにドイツ系ユダヤ人の家庭で、家族同士の交流もありました。ハンスは第一次大戦中、ドイツ軍の兵士として従軍。戦後は大学で哲学や医学、外国語を学びますが、1924年、深刻な経済不況のためブラジルのリオデジャネイロに渡り、親戚の会社で働きはじめます。 マーガレットは美術学校を卒業後、写真家になりますが、ヒトラーが政権を握ると、ドイツを去ってブラジルへ渡り、1935年にハンスと再会します。ふたりは広告代理店をはじめ、まもなく結婚。新婚旅行先のヨーロッパでパリが気に入り、そのまま住み着きます。そして、ある雑誌の載ったハンスのユーモラスなキリンの絵がきっかけで、最初の絵本『きりんのセシリーと9ひきのさるたち』が誕生します。ふたりは、そのなかに登場する知りたがりやのこざるを主人公にしたお話を作りはじめます。第二次世界大戦がはじまり、1940年6月、ついにナチス・ドイツ軍がフランスに侵攻してきたとき、ふたりはその絵本の原稿とわずかな荷物だけを持ってパリを脱出、4か月かけてアメリカのニューヨークへたどり着きます。おさるのジョージの最初の絵本が出版されたのはその翌年でした。以来、ハンスとマーガレットは共同で、ジョージやその他の楽しい絵本をつぎつぎと生みだしました。
この書籍を作った人
公共図書館勤務を経て、現在は児童書の研究、翻訳をしている。訳書に、『としょかんライオン』(岩崎書店)、『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)、『いっしょにおつかい』(岩波書店)、『いもうとガイドブック』(少年写真新聞社)、「ちいさなエリオット」シリーズ(マイクロマガジン社)など、多数。
出版社からの内容紹介
ミスター・ソフティークリーミーは、ソフトクリームの紳士。じまんのステッキを片手に、てくてく街を歩くのが日課です。でも、夏の日ざしを浴びると溶けてしまうし、街のいたるところで一口舐めたがる妖怪“ヒトクチチョーダイヨン”に遭遇……。ミスター・ソフティークリーミーの運命やいかに? マンガやアニメーションの世界でも活躍する注目の絵本作家、くりはらたかしさんが贈る脱力系アドベンチャー絵本です。
出版社からの内容紹介
恐竜たちの悩みをレントゲン写真で解決! 体の不思議を骨格で読み解くから、化石を見るのが楽しくなる!
ここは体の不調を訴える恐竜がつぎつぎとやってくる、不思議な病院。恐竜たちをレントゲン撮影すると、それぞれの恐竜の体のつくりや骨格が映し出され……。レントゲン病院という設定を使って、恐竜たちの体の造りや特徴を楽しく解説します。化石を見るのがさらに楽しくなる科学絵本です。
この書籍を作った人
1959年生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、米国イェール大学理学部修士課程修了、英国ブリストル大学理学部Ph.D. 課程修了。博士(理学)。国立科学博物館・標本資料センター・コレクションディレクター、分子生物多様性研究資料センター・センター長、副館長・研究調整役。群馬県立自然史博物館・特別館長を兼務。恐竜など中生代の化石から読み解く爬虫類、鳥類の進化を主な研究テーマとしている。著書に『日本恐竜探検隊』(岩波書店、共著)、『深読み! 絵本『せいめいのれきし』』(岩波書店)、『恐竜学』(学研プラス)、『恐竜の魅せ方 展示の舞台裏を知ればもっと楽しい』(CCCメディアハウス)ほか、図鑑の監修、「恐竜博」など展覧会、博物館の展示監修も多数。
出版社からの内容紹介
ホタルの一般的なイメージ「清流で夜、静かにまたたいている」とは、裏腹に、実は、ホタルの大部分は陸にすんでいる!? そんな豆知識も入れながら、食べたり食べられたりの波乱万丈なホタルの一生をダイナミックに描いた絵本です。
出版社からの内容紹介
トノサマバッタのたんちゃんは、細長いはっぱが大好物。
じょうぶなあごでバリバリ食べて、脱皮するたびにぐんと大きくなります。
茶色かった体がやがて緑色になり、ある夜、いよいよおとなになるときがやってきました。
身近にいる、トノサマバッタ。
力強くとびはね、羽を広げて遠くまでとんでいく姿は、どうどうとしています。
そんなトノサマバッタがどんなものを食べて、どんなふうにたまごをつくり、うむのか。
たんちゃんが敵に注意しながらたくましく育っていく物語の中には、おどろきがいっぱいです。
土の中におなかをのばしてたまごをうむようすなど、絵本だからこそ見られる場面も!
「むしのたまごシリーズ」5作目。
この書籍を作った人
1986年東京都生まれ。和光大学表現学部芸術学科卒業。2007年に長野で牛にかこまれたときの衝撃から、生き物と目があった瞬間の「見たら見られた」をテーマに木版画を制作している。個展、グループ展での発表も多数。2017年『マンボウひまな日』(絵本館)で絵本作家デビュー。主な作品に『みたらみられた』(アリス館)、『あめちゃん』『きょうは泣き虫』(以上、好学社)、『うみのあじ』(あかね書房)、『だんだん だんだん』(ひさかたチャイルド)がある。
出版社からの内容紹介
カブトムシ、トンボ、バッタ、チョウなど身近に生息する26種の昆虫を、実物の大きさを示しながら丁寧に紹介します。
まず目を奪うのは、繊細なタッチで描かれた昆虫のイラスト。自然がデザインする生きものの素晴らしさを、見事に表現しています。
そして、作者の幼い頃の体験をもとに書かれた文章もとても魅力的です。すべて手描きの文字は、お兄さんの絵日記のよう。子どもたちと一緒に虫とりに行くような目線で、昆虫たちの生態を優しく語りかけます。
生きものへの思いやりがあふれ、図鑑や写真集とは違った楽しさに満ちた作品になりました。
この書籍を作った人
(戸田幸四郎 1931年−2011年)山形県尾花沢市生まれ。都市計画から店舗デザイン、グラフィックまであらゆるデザインを仕事とする。51歳の時、デザイナーから絵本作家に転向。80歳で亡くなるまで42作品を発表。そのどれもがロングセラーとなる。絵はもちろん、ひらがなまで全てをデザインした『あいうえおえほん』は累計100万部を超え、日本の知育絵本の草分けと評されている。他にも宮沢賢治・太宰治などの文に重厚な絵を描いた名作絵本集や環境をテーマにした創作絵本集など出版。静岡県熱海市には自身が建築デザインから手がけた戸田幸四郎絵本美術館がある。
出版社からの内容紹介
オバケのことならオバケやにおまかせ!
オバケおるかね、おらんかね。
おるならとらえてしんぜましょう。
家の中や町のそこここに、オバケは隠れています。
驚かせたり、いたずらしたり、そんないろいろなオバケをつかまえて歩くのがオバケやの仕事。
さて、どんなオバケが隠れているでしょうか?
【編集担当からのおすすめ情報】
妖怪絵本の名手、富安陽子さんと、『大ピンチずかん』が大ヒット中の鈴木のりたけさんがタッグを組んだゆかいな絵本です。語り言葉が楽しく、何度読んでも新しい発見があります。絵本の隅々まで読み切ってください。
この書籍を作った人
1959年東京都に生まれる。児童文学作家。『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会賞新人賞、小学館文学賞受賞、『小さなスズナ姫』シリーズで新美南吉児童文学賞を受賞、『空へつづく神話』でサンケイ児童出版文化賞受賞、『やまんば山のモッコたち』でIBBYオナーリスト2002文学賞に、『盆まねき』で野間児童文芸賞を受賞。「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)、「シノダ!」シリーズ(偕成社)、「内科・オバケ科 ホオズキ医院」シリーズ(ポプラ社)、「やまんばあさん」シリーズ「妖怪一家 九十九さん」シリーズ(理論社)、YA作品に『ふたつの月の物語』など、著作は多い。
この書籍を作った人
1975年、静岡県浜松市生まれ。会社員、グラフィックデザイナーを経て、絵本作家に。『ぼくのトイレ』(PHP研究所)で第17回日本絵本賞読者賞、『しごとば東京スカイツリー®』(ブロンズ新社)で第62回小学館児童出版文化賞、『大ピンチずかん』(小学館)で第6回未来屋えほん大賞・第13回リブロ絵本大賞・第15回MOE絵本屋さん大賞を受賞。また2022年に第2回やなせたかし文化賞を受賞した。ほかの作品に『おしりをしりたい』(小学館)、『す〜べりだい』(PHP研究所)、『ねるじかん』(アリス館)など多数。
出版社からの内容紹介
ようかいむらのみんなでキャンプにいきました。キャンプのお楽しみは、ごはんづくり、キャンプファイヤー、そしていちばんの目玉は「きもだめし」です。ようかいがきもだめし?はてさて、どんなきもだめしになるのでしょう。
この書籍を作った人
大阪府堺市生まれ。魚座。大阪芸術大学デザイン学科卒業。(株)京田クリエーション入社。2001年、2003年、2006年、2011年ボローニャ国際絵本原画展入選。明治「マーブル チョコレート」キャラクターの「マーブルわんちゃん」、兵庫県西宮市観光キャラクター「みやたん」など、多くのキャラクターデザインを手がけるとともに、イラストレーターとしても活躍している。その他の主な作品に、『怪談レストラン』シリーズ(童心社)の装丁・挿し絵、『おはなし・くろくま』シリーズ『わくわく・くろくま』シリーズ(ともにくもん出版)、エッセイ集『キャラクターデザインの仕事』(大日本図書)『うごくくるまえほん 』(ミキハウス)など。見た人を元気にする作品づくりがモットー。
文/竹原雅子
編集/木村春子