ディズニープリンセス じぶんもまわりもしあわせにする おやくそくブック(Gakken)
SNSで話題!すてきな大人になるために大切にしたい「おやくそく」を紹介する絵本。
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「ぼく」は家族で白い車に乗って出発します。牧場をこえて、田んぼの一本道を通り、街なかをすぎて、大きな橋をわたったら、そこには……! 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『うみへ やまへ』。前からとうしろから、ふたつのお話が楽しめるこの絵本、どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
はじまりは、ある日の「ぼく」の日記から。
「きょう ぼくは はじめて おとうさんの うまれた うみべの まちへ いきます。」
朝早く白い車に乗って、家族は山の家を出発します。山のふもとの牧場を過ぎ、田んぼの一本道を通り、大きな駅が見えてきます。さらに高速道路、工場の前を過ぎると、大きな橋が見えてきます。
「うみだ!」
さあ、お父さんの言っていた白い灯台が見えてきて……。
2024年に絵本作家デビュー20周年を迎えられた三浦太郎さんの、記念すべき50作目。山沿いの家から海辺の町へと向かう道中、次から次へと移り変わっていく景色を楽しめるこの絵本。
いくつもの線路が並ぶ駅やきゅうくつな雰囲気の街並み、カラフルなショッピングセンターや退屈な渋滞。なんといっても目の前に広くて青い海が目に飛び込んできた瞬間に心が躍ります。
……ところが、それだけでは終わらないのです。最後のページを閉じると、そこには「やまへ」というタイトルが!
もう一度後ろからめくっていくと、今度は「わたし」の日記がはじまるのです。
「きょう わたしは はじめて おかあさんの うまれた やまの いえへ いきます。」
小さな赤い車に乗って出発する「わたし」の家族は、海から山へ。そこから見える景色は……?
絵本をひっくり返すというダイナミックなしかけ。左上にある文章にそって進んできたお話を、今度は右下の文章をたどりながら進んでいく。すると、同じ景色でも印象が変わってくるから不思議です。まるで価値観の違いを体験しているかのようでもあり、新しい発見の道中のようでもあり。
遊び心たっぷりなこの美しい一冊を、くりかえし存分に味わってみてくださいね。
通る道は同じだけれど
前からとうしろから、ふたつのお話が楽しめるこの絵本。最初は山から海へ。のんびりした風景から窮屈な都会を抜け、ふたたび解放感あふれる海の景色へ。二つ目のお話は、海から山へ。気持ちのいい風景から何だか暗くて疲れる道路を抜け、今度は懐かしいようなのんびりした山の景色へ。しばらく過ごせば、二つの家族は再びもと来た道を引き返すのでしょうか。こんな風に、私たちの人生は、案外同じ道を行ったり来たりするものです。そのたびに違う景色に見えるとしたら、なんて豊かなことでしょう。今度は帰り道の日記も読んでみたくなりますね。
この書籍を作った人
1968年愛知県生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業後、イラストレーターとして活動。ボローニャ国際絵本原画展で入選を重ね、スイス、イタリア、スペインなど海外でも絵本を出版。絵本作品に、『くっついた』『ゴリラのおとうちゃん』(こぐま社)、『ちいさなおうさま』『おおきなおひめさま』(偕成社)、『バスがきました』(童心社)、『おしり』『よしよし』『りんごがコロコロコロリンコ』(講談社)など多数。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。