絵本紹介
2024.09.18
ぶどう、なし、かき、みかんやりんご。栗にさつまいも、かぼちゃにきのこ、サンマに秋鮭……新米だって忘れちゃいけない。
あぁ、どうしてこんなにたくさんあるんでしょう、秋の味覚。商店街やスーパーに陳列された彩り豊かなフルーツやぷっくりした野菜を目にしただけで、思わずお腹がぐうーっと鳴ってしまいます。だって仕方がないですよね。こんなにおいしいものが揃う季節なんですから!
そして秋は、気がついたらおいしそうな絵本を手に取っていたりして。
いも掘りで掘り出した大きなおいも。焼きいも、大学いも、スイートポテト……私だったらどんなふうに食べるかなぁ。 登場人物はかわいいくだものたち。ハラハラドキドキ応援しながらも、読み終えたら思わずぶどうが食べたくなっちゃう。 個性豊かなパン屋さんの焼きたてパンが並ぶパンまつり。メロンパン、ミルクパン、カレーパンと眺めるまなざしは真剣、だって本当においしそう!
尽きることない秋の食欲、本能のおもむくままだと体重計の恐怖に苛まれますが……おいしそうで楽しい絵本に助けてもらって、食べ過ぎには注意しましょうね!
みどころ
おいしいもりにやってきたぶどうくんは、元気な男の子。
今日は大縄跳びの仲間に入れてもらうことにしました。
果物と野菜たちは、何回連続で跳べるか新記録に挑戦中!
でも、ぶどうくんたら、ちっとも真面目に跳ばないのです。
怒ったりんごちゃんは、ぶどうくんの葉っぱとつるが邪魔だから切ってくるようにと言いました。
すると、今度はぶどうくんが怒って行ってしまいました。
りんごちゃんに言いすぎじゃないかと言う他の果物や野菜たち。
なんだか気まずい雰囲気になってしまいました……。
そこへ現れたのは、乾いた心が大好きな砂の妖怪「サバクダー」。
サバクダ―は熱い砂をまき散らし始め、おいしいもりは大ピンチ。
と思ったら、待ってました、やくみレンジャー!
「おいしいもり」シリーズではおなじみのヒーローです。
颯爽と登場した彼らはサバクダーに立ち向かいますが、少々押され気味。
その様子を見ていたのは、ぶどうくん。みんなを助けるため、サバクダーに挑みます。
つるを伸ばして戦うぶどうくん。さっきまでとは別人(別ぶどう?)のようです。
ちなみに、世界には砂漠で育てられているぶどうもあるんだとか。ぶどうって結構強い植物なんですね。
ぶどうくんだけではない、個性豊かなおいしいもりの仲間たち。
レモンちゃん、いちごちゃん、ももちゃん、りんごちゃんが主人公の、他の「おいしいもり」シリーズも一緒にじっくり味わってみてくださいね。
この書籍を作った人
東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了。動物をモチーフに、日本画表現による発表と絵本創作を続けている。絵本作品に『レモンちゃん』などの「おいしいもり」シリーズ・『さかなかにゃ?』(PHP研究所)、「まじょ」シリーズ・『あひるのあーちゃんあいうえお』(ハッピーオウル社)、『ごきげんぶーた』・「くものこくー」シリーズ・『ケーキちゃん』などの「スイーツ」シリーズ・『パンのようちえんえんそくにいく』『てっかくん』(教育画劇)、『おべんとう』『どうぶつパンやさん』(ひかりのくに)、『ゴチソウドロどこにいる?』(すとうあさえ 作/くもん出版)、『ピンポーン!つぎとまります』(五味ヒロミ 文/交通新聞社)、『やさいのプールびらき』(苅田澄子 文/講談社)他。『まじょのほうき』で第4回ようちえん絵本大賞、『おべんとう』で第9回MOE絵本屋さん大賞 2016 パパママ賞を受賞。
出版社からの内容紹介
秋の楽しみおいもほり。おいも〜、おいも〜、さつまいもー。歌っていたら、おいしいやきいものできあがり! あつあつのやきいも食べたら、どうなっちゃう? めくるのが楽しくなる、読み聞かせにピッタリの1冊。
この書籍を作った人
1953年愛媛県生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。3年間のフランス滞在を経て、絵本作家、翻訳家として活躍中。『なぞなぞのたび』(フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞、『あしたうちにねこがくるの』(講談社)で日本絵本賞、『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞。訳書に『リサとガスパール』シリーズ(ブロンズ新社)他多数。
この書籍を作った人
1955年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルドライフアート、オリジナルグッズなどで独自の世界を展開する、自然派アーティスト。「ピンクとスノーじいさん」(徳間書店)、「プレゼント」(BL出版)、「ようこそ森へ」(徳間書店)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞、「ピンク!パール!」(徳間書店)で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、「なつのいけ」(ひかりのくに)で日本絵本賞大賞、「999ひきのきょうだいのおひっこし」(ひさかたチャイルド)が2012ドイツ児童文学賞にノミネートなど国内外で高く評価されている。主な作品に「星空キャンプ」(講談社)、「さかなつりにいこう!」(理論社)、「石のきもち」「くじらのバース」(ひさかたチャイルド)、新刊「どろんこ!どろんこ!」(講談社)など多数ある。伊豆高原と石垣島に、村上康成絵本ギャラリーがある。
みどころ
ピクニックびよりのある日、森ねずみたちが山へ遊びにきて、おいもの葉っぱを見つけます。「これはきっと大きなおいもがあるにちがいない」 喜んでつるに飛びつくと……「待て待て、ぼくたちが先に見つけたんだぞ!」と声をかけてきたのは町ねずみたち。
そこで両者ゆずらず、ひっぱりっこに。「うんとこチューチュー! まけるなチューチュー!!」 だっておいもが欲しいですからね。そしたらなんと「ドッカーン!」と掘り出されたおいもが大きすぎてびっくり。
どうやって運ぼうか悩んでいると、ちびねずみたちが古い線路を見つけます。森ねずみと町ねずみは知恵を出し合い、おいも列車をつくることに。出来上がったら、さあ、みんな乗ってしゅっぱチュ!
後半はぜひ絵本を読んでほしいのですが、走り出したおいも列車は、爽快にスピードアップ。穴あきしかけもあり、どんどん場面が展開していくシーンは読者を引きつけること間違いなし! 最後はおいもだけにおいしそうなオチがつき、読んだらお腹がすいてきちゃいそうです。ダイナミックなめくりしかけをぜひお楽しみくださいね。
園でも、おうちでも。食欲の秋はもちろん、電車好きや食いしん坊なお子さんに通年でおすすめです!
出版社からの内容紹介
ふたりのリスさんはいつもいっしょ。ある日、不思議な葉っぱがとんできて、ふたりはその木を探しにいきますが、とちゅうで言い合いになってしまい…。
ロッテ「パイの実」の世界が絵本になりました!
「パイの実」のリスさんたちがくりひろげる、心がほっこり心あたたまる物語。
(監修・協力 LOTTE)
この書籍を作った人
愛知県生まれ。児童文学作家、コピーライター、雑貨ショップ「マッシュノート」オーナー。日本児童文芸家協会会員、日本童謡協会会員。第11回児童文芸家協会創作コンクール童謡・少年詩部門で優秀賞。第9回キッズエクスプレス21創作童話・絵本コンテストで岩崎書店賞。絵本『たぶん ほんと』(マッシュノート)、『グッバイ山でこんにちは』(文研出版)、絵本『ルコちゃんがいく』『ルコちゃんはどこ?』(鈴木出版)など。
この書籍を作った人
1986年生まれ。2009年京都精華大学カートゥーンコース卒業後、イラストレーターとして書籍や雑誌、絵本の挿絵を描くほか、文房具や雑貨のイラストとデザイン、ぬいぐるみの販売など幅広い分野で活動中。著書に『すてきなおかし作り』他「はじめて絵本」シリーズ、『シロクマくつや』などがある。
出版社からの内容紹介
どうぶつの国では、年に一度、パンやさんが森の広場にやってきて、パンまつりを開きます。さるのパンやはバナナジャムの入ったパン、いぬのパンやはわんわんドッグと、ごじまんのパンばかり。お客さんは、木の実やくだものなどをもってきて、パンとこうかんします。たくさん材料が集まったら、広場に大きなかまがはこばれます。さて何ができるのでしょう? みんなが、もっているものを分け合い、できることをしていく優しい物語。
この書籍を作った人
愛知県生まれ。東京造形大学デザイン科卒。インテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動後、絵本の創作を始める。第1回日本童画大賞優秀賞受賞。絵本に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』(福音館書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん!』『もじもじさんのことば劇場 オノマトペの巻』(偕成社)、『そこにいますか―日常の短歌』(岩崎書店)、『うんこ!』(文溪堂)、『どうぶつぴったんことば』(くもん出版)他多数。
みどころ
ABCityはたべものでできた街。引っ越しすることになった男の子と女の子が、りんご鉄道に乗って、ABCityの玄関口「Apple駅」に到着。さあ探検の始まりです!
「Bananaスキー場」は、雪がなくても一年中すべることができるバナナでできたスキー場。バナナスノボも人気です。スキーもスノボもバナナの皮でできているんだって!さっそく滑ってみましょう。
次に甘い匂いにつられてやってきたのは「Cakeデパート」。化粧品も、服も、家具も、おもちゃも、みんなケーキでできています。夢のようなデパートに、テンション急上昇! デパート内をぐるぐる探索したくなりますね。
食べ物で作られた空想都市を、AからZまで、アルファベット順に探検していくおはなし。「次のアルファベットはどんな食べ物だろう?」「どんな建物かな?」とワクワクしながらページをめくり続ければ、時間を忘れてしまいまいそう。細かく描きこまれたイラストには、たくさんのお楽しみが散りばめられています。きっと読むたびに新しい発見がありますよ。
作者は現役美大生であり、絵本作家、イラストレーターとしても活躍中のこたさん。著書『わくわく科学ずかん 古生代水族館』(大泉書店)ほか、空想の都市や海の生き物のイラストを多く手がける、大注目の画家さんです。本作は制作期間2年! なんと100ページ越えの超大作です。子どもも大人も夢中になること間違いなし。世界で一番おいしそうな街を、ぜひ皆さんも堪能してくださいね。
みどころ
「かいじゅうたちのいるところ」で知られるセンダックの、とっても不思議なお話です。
ミッキーがやってきた真夜中の台所は、さながらマンハッタンの摩天楼ですが建物はすべて食べ物の箱や瓶。絵や展開はマンガチックで一見楽しそうなのですが、どうもほんの少し不気味さを感じます。
ベッドに入った後の、パパやママの部屋の先の想像の世界への冒険。
そしてその世界でミッキーは臆することなく堂々と立ち回り、満足して自分のベッドに戻ってきます。
このあたりの独特の感覚が子どもの心を捉えるのではないでしょうか。
大人が苦手でも敬遠せずに読んであげて欲しい作品です。
この書籍を作った人
1928年アメリカ ニューヨーク生まれ。アート・スチューデンツ・リーグに学ぶ。『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房)でコールデコット賞を受賞、その他『まよなかのだいどころ』『まどのそとのそのまたむこう』(冨山房)、『ロージーちゃんのひみつ』(偕成社)、『そんなときなんていう?』(岩波書店刊)、『くつがあったらなにをする?』(福音館書店刊)、『ミリー』(ほるぷ出版)他多数の作品がある。国際アンデルセン賞、ローラ・インガルス・ワイルダー賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞などを受賞。
この書籍を作った人
〈1932年-〉群馬県生まれ。青山学院大学名誉教授。児童文学評論、創作、翻訳など、幅広く活躍。おもな訳書に『アーサー・ランサム全集』(岩波書店)、評論に『世界児童文学案内』(理論社)、創作に『たけのこくん』(大日本図書)などがある。
みどころ
おなじみ『さるかに合戦』の物語。墨絵を想起させるイラストが、日本情緒たっぷりに、このよく知られた昔話を描きます。かにとさるの会話は、方言まじりの温かい響き。「かにどん、かにどん、なにを しちょる」とさるが尋ねれば、かには「おら、やっと柿の実が熟れたで、はようはい登って もごうと思うが、気がせくもんで……」と言った具合です。
意地悪なさるをこらしめようと一致団結するのは、かにの子供たちと栗、蜂、臼に、はぜ棒と牛のうんち。この一団がさるの家めがけて進む道中は、がしゃがしゃ、ころころ、ぶんぶん、ぺたりぺたり、とんとん、ごろりごろり……と大騒ぎです。次々と仲間が加わり、擬音語がにぎやかになっていくところが楽しいですよ。
――(ブラウンあすか)
出版社からの内容紹介
もうひきかえせない・・・ ここは恐怖のレストラン。
英語で書かれた絵本にCD(英語・日本語一文ずつ交互に収録)がついています。
(一部、例外あり。詳しくは、それぞれの書籍の説明文をご覧下さい)
こどもが初めて英語の物語に出会う時、英語だけではなかなか楽しめません。
日本語の語りが助けとなり、英語物語の世界へ自然と引き込まれていきます。
この書籍を作った人
1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。十代の頃から短歌を書き始め、その後、農業研究家、農村指導者として活動しつつ文芸の道を志ざし、詩・童話へとその領域を広げながら創作を続けた。生前に刊行された詩集に『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』がある。彼の作品の殆どは没後に高く評価され多数の作品が刊行された。また、何度も全集が刊行された。1933年に37歳で病没。主な作品に『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『注文の多い料理店』『どんぐりと山猫』『よだかの星』『雪渡り』『やまなし』『セロひきのゴーシュ』他多数。
この書籍を作った人
1936年生まれ。独学で絵を学び、絵画創作にとどまらず、絵本の原画、書籍の装丁、また小説の執筆にと幅広く活躍する。絵本には、宮澤賢治童話、松谷みよ子、新美南吉らの諸作品の原画のほか、創作絵童話に『はずかしがりやのぞう』(1968)、『ちびっこわにの冒険』(1971)、『おとうさんだいすき』(1995)、『アスカ』(2004)、また歴史絵本の傑作『河原にできた中世の町』(1988)、創作の現場を顧みたエッセイ『絵本の魔法』(2013)などがある。
文/竹原雅子
編集/木村春子