●『だむのおじさんたち』や『ならの大仏さま』など名作が次々と復刊!
───復刊ドットコムでは、今回の『こどものとうひょう おとなのせんきょ』以外にも、かこさんのデビュー作である『ダムのおじさんたち』など、いろいろな作品が復刊されています。ご自身の作品が復刊されることについて、どう思われますか?
大変ありがたいことです。ただ、昔に描いた作品は、当時の私が、何とかして社会のお役に立つようにと思って描いた作品です。それが、いまだにお役に立つということは、なんだか社会全体が少しも進歩していないようにも感じられて、寂しさも感じています。
───出版当時に、かこさんの作品を楽しんだ子どもたちが、大人になって、自分の子どもたちへ、改めてかこさんの作品を読ませてあげたいと思ったのかもしれません。
そうですね。復刊ドットコムさんで出版していただいた作品には、奈良の大仏がどうやって作られたのか、歴史的背景や建立の様子までを描いた『ならの大仏さま』があります。これは私自身が、東大寺の図書館に籠って調べたことや、東大寺の住職へ取材をさせていただいたことをまとめて描いている思い入れのある作品。こういった作品を復刊していただくことはとても嬉しいですね。
『ならの大仏さま』の貴重な原画を見せていただきました。
───これから新たに復刊される作品もたくさんあるのでしょうか?
実は『こどものとうひょう おとなのせんきょ』は「かこさとし しゃかいの本」というシリーズの中の1冊なのですが、2017年にはこのシリーズから何作か復刊されることが決まっています。
───それはすごいですね! どのような作品が復刊されるのですか?
ひとつは『ほんはまっています のぞんでいます』。これは本に関わるおはなしで、古今東西の名作キャラクターが登場します。もうひとつは『しんかんせんでも どんかんせんでも』、今話題のリニアモーターカーも登場する作品。そして、原始時代から現代まで、町がどのような歴史をたどってできたのかを描いた『わたしのまちです みんなのまちです』。『ゆうびんですポストです』は、郵便について紹介する絵本。これは、年末に発売される予定です。
───1年をかけて、シリーズが復刊されるなんて素敵ですね。「かこさとし しゃかいの本」シリーズ、多くの方に読んでいただき、新たな名作となるよう、絵本ナビでもプッシュしていきたいと思います。
ありがとうございます。
───こちらこそ、今日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
文・編集/木村春子
写真/所靖子