2013.11.15
絵本作家石井聖岳さんが鋭意制作中の様子をお伝えします。
4月にスタートした「みんなで作るSLえほん制作プロジェクト」も、夏のワークショップを終え、完成に向けていよいよ大詰め。
4回目のレポートは、石井聖岳さんのアトリエから、絵本の進行をお伝えいたします!
アトリエの机の上には、制作中の絵本の原画がありました!
───原画からSLの迫力がすごく感じられます!
今、原画はどのくらい制作が進んでいるんですか?
ちょうど1/3あたりですね。
───SLを描くのははじめてですよね? 大変なところはありましたか?
そうですね。
いつも最初のページを描き上げるのに苦労をします。
自分の中に基準がないので、主人公はどんなキャラクターなのか、どんな特徴を出すと良いのか、試行錯誤しながら描いていきます。最初の絵が描きあがるまでは、なかなか寝付けないこともあります。
その代わり、最初の場面がうまくいけば、残りはかなりハイペースで仕上がることが多いです。
───絵を描くときに、集中するためにしていることなどはありますか?
ぼくはいつもラジオを流していますね。お気に入りの番組を録音していて、ヘビーローテーションでかけています。
完成した絵本を見るときに、「この絵を描いていたときは、あの番組を聞いていたな…」と思い出すことも多いですよ。
───そうなんですね。走っているSLの映像を見たり、写真を見たりしてイメージを膨らませたりはしましたか?
はい。今回は映像のほかに、担当編集者さんから、SLの模型をいただいて、それを見ながら描いています。写真や映像は一方向から撮られている物も多いですが、模型だといろんな角度から見ることができるので、イメージが湧きやすいですね。
───今回作成されている絵本のタイトルは『SLぎんがくんのいちにち』。
SLのぎんがくんと、ぎんがくんに乗る子ども達との交流や、いろいろユニークな駅に到着する様子が魅力のおはなしですが、SLぎんがくんを描くときにこだわった部分はどこですか?
SLの力強い感じを出すために、ブラックジェッソという下塗り用の絵の具を輪郭に使って、つやを出したり、黒い色が単調にならないようにこだわって描いています。
あと、今回、SLの迫力を出したかったので、横長の絵本になるんですが、いつもの画用紙ではなく、キャンバスを使っているので、布の質感や布目が出ていて、いい感じに原画が仕上がっています。
───本当だ! かなり独特な風合いですね。今回、絵本には8月に盛岡で行ったワークショップで描いた子ども達の絵も登場するんですよね。どんな形で載るのでしょうか?
今回は、ぼくの絵とコラージュさせた形で絵本の中に登場します。
───すごい、豪華なコラボレーションですね。こういった形で作るのは大変ではなかったですか?
以前、井の頭公園でやっているフリーマーケットに参加していて、そのとき、遊びに来てくれた子ども達にオバケをテーマに絵を描いてもらっていたことがあったんです。
それを3か月くらい続けて、最終的に『おばけのいえ』という作品にしました。これは結構楽しくて、思い出深い作品ですね。
その経験があったので、今回のコラージュも楽しかったです。
───これを見ていると、ワークショップのことが思い出されますね。子ども達の絵はいろんなページにも載るんですか?
全ページではないですが、子ども達が描いてくれた汽車の絵は絵本の最初の部分に全員載るので、かなり見応えがあると思います。あとは最後のページのお花にも子ども達の絵を使用します……これ以上は完成してからのお楽しみです(笑)。
───出来上がりがますます楽しみになってきました!
今日は原画制作の最中にお時間をいただき、ありがとうございました。
原画の制作、頑張ってください!
いかがでしたか?『SLぎんがくんのいちにち』、完成が待ちどおしいですね。
最後に、石井さんのアトリエをちょっとだけご紹介しちゃいます!
●『森のイスくん』のいすくんが!
●愛猫の「つきかげ」くん。
石井さんのお宅にはもう1匹ネコちゃんがいるそうです。
(絵本ナビ編集部)