山の上に一人で暮らす子鬼。 話し相手は年取ったクマタカだけ。 遊び相手になってくれる友だちをどうやって作ったら良いかわからない子鬼は頭を使って考えた。 そうだ!ここで、とおせんぼしてやれ。山にやってくる人や獣、片っ端からとおせんぼ。
「とおーせんぼ、とおーせんぼ。 ここから さきに いきたけりゃ、 おいらと ちょこっと、あそんでき」
とおせんぼしているのは、どこから見ても危害のなさそうなかわいらしい小さな子どもの鬼です。 そう、誰も相手にしてくれないのです。 挙句の果てには、人間はもちろん蟻や亀にさえも相手にされず・・・。ううっかわいそう。 すっかりやる気をなくした子鬼ですが、優しいクマタカに慰められて再び遊び相手を探そうととおせんぼした、その時です。はじめて子鬼の前でぴたりとおじいさんが止まったのです。 「へたくそ!おまえの とおせんぼは、まったく なっとらん」 うそ〜、ショックをうけている子鬼をよそに、おじいさんは続けます。「とおせんぼの ごくいを おしえてやる」。「とおせんぼ」に極意なんてあるの?普通のおじいさんに見えるのに一体なに者?
予想を裏切る面白いお話と登場人物からなんとも言えぬほんわかな優しさが溢れてくるこの絵本。 児童文学作家の村上しいこさんと絵本作家兼イラストレーターのたごもりのりこさんがタッグを組んだ作品です。こんなかわいらしい子鬼にとおせんぼされたら、一緒に遊んじゃうと思うなぁ。子鬼の愛らしい言動は甘えん坊の小さい子どもみたい。そして、最後のおじいさんの粋なはからいに膝をたたきながら、思わず「おじいさん〜!!」と心がグッときてしまいました。 みなさんも「とおせんぼの極意」気になりますよね。是非続きは絵本でお楽しみください。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
友だちほしいと、子鬼がみんなをとおせんぼ
山の上にひとりぼっちで暮らす子鬼は、ともだちがほしくて道行く人をとおせんぼ。 けれど、たちどまってくれる人はだれもいない。 ある日、とおせんぼをして出会ったおじいさんに言われるままについていくと、そこは、おじいさんのお店、団子屋。そして、子鬼はその団子屋を手伝わされ、団子の作り方はもちろん、お茶の入れ方も教わりながらいっしょに暮らす。 ―そして、一年たったころ、ふたたびおじいさんに連れられて見せられたものは!? 『とおせんぼ』をキーワードに、人と交流することのほんとうの意味に気づかされるハートウォーミングな絵本。
一人ぼっちの子鬼が、ともだち欲しさに道行く人をとおせんぼしますが、上手くいきません。
ある日、一人のおじいさんがやって来て・・・
お話は村上しいこさん。起承転結が上手くて、最後は温かい気持ちになれる素敵なお話でした。
挿絵もほっとする色遣いで、このお話にピッタリだと思いました。
「ともだちが欲しかったら、人の嫌がることではなく、喜んでくれることをやろう」、これがおじいさんが教えたかった極意のような気がしました。
美味しいおだんごの作り方に、お茶の淹れ方、さらには団子屋を一軒プレゼントしてくれるなんて、なんて太っ腹!
「とおせんぼ」というお店の名前も洒落てますね♪
お客の中には桃太郎ご一行もいます。きび団子もあるのかな?
後付けを見ると、この作品は読売新聞の「読み切り創作」を加筆修正されたものだとか。
私も読んでいますが、一回きりで終わるには勿体無い秀作もあり、こんな風にどんどん絵本化されるといいなぁと思いました。 (MYHOUSEさん 40代・ママ )
|