クレヨン画家、加藤休ミさんの新作は、大きな古い庭に宿るという妖怪「かんなじじ」のお話。 かんなじじは、昼間はじっと座っているだけ。夜になると恐ろしい姿で庭を舞い踊ります。 「つるるん るるるん かんなんぎ〜ん」 明るい月の夜も、嵐の夜も。長い間こうして、家と、家の主を守ってきたのです。 時は移り、妖怪たちの生きづらい世の中になりました。 広い庭が減り、山や竹やぶを切られ、住処を失った妖怪たちが、かんなじじのところへやってきます。 毎夜毎晩、にぎやかに繰り広げられるかんなじじ踊り。 しかし、この幸せな暮らしも終わるときがきて・・・。
恐ろしいけれど、どこかユーモラスな姿の妖怪たち。 見開きいっぱいに描かれた妖怪たちの迫力と渦巻くエネルギーに圧倒されます。 そして読後にずしんと残る余韻。 「わしらは どこへ やどりゃ いいのじゃ〜」 その悲しい声に、心にぽっかり穴が開いたような気持ちになるのです。
家がひしめきあう都会の明るい夜。 「つるるん るるるん かんなんぎ〜ん」 月を見上げて「かんなじじ、どうか私たちを守ってください」と祈ってしまいます。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
人が住まなくなった家は、どうして朽ち果てるのでしょうか?古い大きな庭に宿る、人には見えない妖怪「かんなじじ」は、毎晩毎晩おどっては、家や庭を守っています。ある日「かんなじじ」は、宿る場所のなくなった妖怪、ちよ、やそきちを庭に招きいれますが…。クレヨン画家・加藤休ミが大迫力で描く、楽しく切ない妖怪絵本。
とても愉快で、おまけに家を守ってくれる妖怪たち。
昼夜の姿の違いは、同一妖怪とは思えない!
このパワーなら、邪気も近寄れないですね(笑)
ぜひわが家にも来てほしいです!
でも、こんなにエネルギッシュな妖怪たちですら、開発や人口減少で、棲むところを追われてしまうなんて、なんだか考えさせられました。
人間も、妖怪も、住み良い世の中になればいいなって思いました。 (しゅうくりぃむさん 40代・ママ 女の子9歳)
|