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ぼくはもう、銃を握りたくない…。アフリカ・シエラレオネで、子ども兵士として生きるしかなかった少年、ムリアの夢とは?産経児童出版文化賞受賞作。
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シリアで犠牲になった後藤健二さんの本です。
冒頭は右手、両耳を切断された男性に焦点が当たります。
3歳になる姪は、反政府軍の10歳前後の子ども兵士に、右手を切断された上に両親までも殺されたため、引取って育ててます。
なぜそんな幼い子どもたちが、銃を持ち、戦闘に加わるのでしょうか。
その後、戦闘から逃げ出した子ども兵士を保護し、共同生活を送っている施設に場所を移します。
そこで出会った少年、ムリア15歳。
彼は戦闘で沢山の人を殺しましたが、彼もまた被害者だったのです。
冒頭の男性は言います。
加害者が目の前にいても責めない。彼らを許す。
でも、一生忘れることはないと。
そしてムリアも言います。
人を殺すのは悪いこと。
でも、自分の両親も何も悪いことをしていないのに殺された。戦争とは、そういうものだと。
シエラレオネはとても質の高いダイヤモンドが取れるといいます。
内戦ではそれが格好の標的となり、鉱山は占拠され、採掘されたダイヤモンドは銃に変えられていきました。
その利益がきちんとした用途に使われたなら、国連もユニセフも必要ないんじゃないかと思うと、やるせなくない気持ちになります。
今まで読んだ後藤健二さんの著書の中で、一番過酷な内容です。
でも、子どもにも分かりやすい文章で書かれ、後藤さんの優しさを垣間見ることができます。
今現在、元少年兵のムリアはどうしているのでしょうか。
後藤さんの手による続編を期待したかったのに、残念です。 (ヤキングさん 30代・ママ 男の子11歳、女の子5歳)
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