ひ孫から見た戦争を描く絵本。激戦地で戦い、生き残った人がかかえる苦しみを、子どもたちはどうとらえるのか。戦争を知らない児童文学作家と、戦争をよく知る漫画家とが、戦争を語り継ぐために合作。
漫画家森田拳次さんといえば、
やはり「丸出だめ夫」が代表作であろう。
1964年から67年にかけて「少年マガジン」に連載され人気を博した。
ペーソスのあるギャグ漫画だった。
その森田さんは1939年生まれで、少年時代を満州で過ごした経歴を持つ。
敗戦時には中国奉天にいたという。
森田さんが得意とするギャグ漫画の根っこには
敗戦時に経験したさまざまなことがあるのだろう。
ちばてつやさんらとともに「私の八月十五日の会」を立ち上げ、
戦争を語る継ぐ活動にも力を注いでいるのも、
同じ根っこから出ているのだろう。
絵本『空にさく戦争の花火』は、
高橋秀雄という児童文学者が文を書き、
森田さんが絵を描いている。
夏の夜空を彩る花火がきらいだった春造さんというおじいさんの話。
どうして春造さんは花火がきらいだったのか。
その理由がかつての戦友だった人から明かされる。
春造さんは花火を見るたびに
戦争中の艦砲射撃を思い出していたという。
森田さんの絵のベースは漫画作品のように素朴なのだが、
戦争を描く場面では黒を基調とした荒々しいタッチと変わる。
おそらく森田さんには自分たちの世代が経験してきた戦争というものを
次の世代にちゃんと渡しておきたいという
強い思いがあるのだろう。
コロナ禍があけて、
各地の花火会場には多くの人がつめかけている。
私たちが今見る花火が、いつまでも平和の花火でありますように。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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