たんぽぽがいっぱいの春の野原で、 えっちゃんはこねこのミュウと一緒に、 ちょうちょを追いかけます。 花にとまったちょうちょを上手につかまえたえっちゃん。 でも、もう一羽ちょうちょが飛んで来て、 そばで心配そうにひらひら。 「お友達かな?」 えっちゃんはちょうちょをはなしてあげました。 2羽のちょうちょは、今度はうれしそうにひらひら飛んでいます。 ところが、夢中になって追いかけてきたえっちゃんたちは、 いつの間にか迷子になっていたのです。 道がわからず、つい涙がこぼれてきたえっちゃんの耳に ふしぎな、やさしい声が…。
やさしい気持ちがちょうちょに伝わり、それがまたちょうちょから えっちゃんに戻って来るという、すてきな心の交流の物語。 あまんきみこさんによる春らしさあふれる愛らしいお話に、 黒井健さんがすばらしいイラストを描いてくださいました。 まるで一緒に春の野原を歩いているような気持ちになります。 また、女の子の素直な心の動きが、かわいい表情やしぐさから こぼれていて、読むたびに胸があたたかくなります!
(長安さほ 編集者・ライター)
春の野原で、えっちゃんと子猫のミュウが夢中で蝶を追いかけています。蝶は、木の向こうに舞い上がったり、草の上を飛んだり。やっと捕まえたそのとき、別の蝶がやってきました。「心配しているのかな」えっちゃんは、蝶をそっと放してあげました。ところが…さあ帰ろうとしたとき、えっちゃんは自分たちがどっちから来たのかわからなくなりました。えっちゃんとミュウは、野原をあっちへ行ったりこっちへ来たり。迷子になったえっちゃんの目から涙がこぼれそう。ミュウも泣きそう。そのとき、どこからか「泣かないでよう」ーーその声はだれ?
読んだ後ほっとあたたかく穏やかな気持ちになれる絵本で、幼い女の子とちょうちょとのふれあい。何だか、私も、ずっとずっと昔こんなことあったかもとも思いました。幼いころは自然と自分は一体で虫も草もお友達。いつから自然のもの達と離れてしまうのでしょうか。この永遠とも思える幼い子供の瞬間をあまんさんの穏やかな文と黒井さんのあたたかな絵で包みこみ幸せな気持ちになりました。子供達にはこの様な経験をしてもらいたいなと思いました。 (ミントカモミールさん 40代・ママ )
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