ようこそ! クルツ写真館へ。 ネコのクルツは腕利きのカメラマン。この写真館に来れば、どんな悩みや問題も解決してくれて、ごきげんな写真を撮ってくれると評判なのです。 やって来たのは、「強そうに撮ってもらえませんか?」という、気の弱そうなライオンさん。クルツは、助手のチュータと一緒に、ひげをブラシでとかし、たてがみをカールさせて…ここまでは、ふつうの写真館と同じです。違うのは、クルツが、ちょっとしたハプニングのシャッターチャンスを逃さないこと! テーブルからすべり落ちそうになったチュータを助けようと、がしっとテーブルをつかんだ瞬間のライオンさんを、パチリ! 強そうなポーズで撮れた写真に、ライオンさんは大満足。るんるんで帰っていきました。 「甘えんぼうの子がポケットから出てこなくて…」というカンガルーのお母さん。クルツは、キッチンのオーブンから焼きたてのクッキーを出し、ポケットから顔をのぞかせた、いいお顔のぼうやをパチリ! 最後は、「写真なんてやだよ!」とご機嫌ななめのふたごのこぐまたち。さあ、クルツはどうやって解決するでしょう?
加藤晶子さんは、『てがみぼうやのゆくところ』で講談社絵本新人賞を受賞された絵本作家さん。あたたかくて、どこか懐かしい色合いの画風は、表情豊かな動物たちのユーモラスな物語にもぴったりです。写真機が収まった棚や子ども向けのおもちゃが並んだ棚…インテリアの細部までおしゃれなのも見どころです。 写真って撮るのも撮られるのも楽しいけれど、いい表情の写真を撮りたいと気負うとむずかしいこともありますよね。こんなすてきな写真館があったらなあと思わせてくれるお話です。
(長安さほ 編集者・ライター)
まちのはずれの写真館。ここにくれば、どんな悩みや問題も、クルツがたちまち解決して、ごきげんな写真を、さあ、パチリ!
「ごきげん」というワードが気になります。
カメラマン、ねこのクルツが主人公ですが、
扱うカメラはクラシカルで、職人気質が伺えます。
なんでも、どんな動物もご機嫌にしてしまう、という触れ込みに惹かれます。
その様子を、いくつかの例で展開するのですが、意外性にびっくりです。
ちょっとしたハプニングや、とっさの瞬間を撮影するのですから、
まさに職人技。
予想していた「ごきげん」をいい意味で裏切ってきます。
写真の新たな可能性を見た思いです。
幼稚園児くらいから、シャッターチャンスの醍醐味を。 (レイラさん 50代・ママ 男の子29歳、男の子27歳)
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