今夜は十五夜。えっちゃんは、朝からおかあさんのお手伝い。 「おつきさんに そなえる おだんごを つくるのよ」 「いそがしい いそがしい」とおだんごを丸めています。 横で見ている子猫のミュウはちょっぴり不満気。 「ぼくだって いそがしい」とつぶやいています。
おだんごもたくさんできたし、野原にいってすすきの穂ももらってきたし、お供えの柿、栗、ぶどうも用意しましたよ。準備は万端です。 それなのに空には大きな雲が広がって、どっかりと動かなくなりました。 お月見ができなくなる、と、えっちゃんが心配していると、となりの部屋で物音がします……。 なんと、ミュウが青いハチマキしめて、「いそがしい、いそがしい」とおもちゃばこからおもちゃをぽいぽい投げ出しているのです。 ミュウはなぜいそがしがっているのでしょう? 「はたらいてますよ」「さあ、えっちゃんも、のって」ですって。 ミュウがハンドルをにぎって、おもちゃばこにのった二人はどこへ行くの?
繊細なぼかしが美しい、黒井健さんの絵を堪能できる絵本。 ページいっぱいに描かれた空や、空中から見おろすコスモス畑。 すすきがたなびき、夕焼け雲がうかぶ……秋らしさいっぱいの絵が素敵です。 あまんきみこさんの文は、おばあちゃんが耳元でそっとお話をしてくれているような、味わいがあります。 ミュウの登場が作品にユーモアを加えています。
しっとりとしたファンタジーのお月見絵本。 「でかぐもさん」「かぜっこ」が登場する場面は、思わず見入ってしまいますよ。 あまんきみこさん、黒井健さんからの、秋の贈り物のような絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
今夜は十五夜。えっちゃんは、お月見の準備に大忙し。お団子をお供えして、ススキを飾ったころ、空に大きな雲が広がって動かなくなりました。このままでは、お月見ができません。「でかぐもさあん。のいてよう。のいてくださあい」すると、はちまきをした子猫のミュウが空っぽのおもちゃ箱に飛び乗って言いました。「さあ、えっちゃんも乗って乗って」えっちゃんが乗ると、箱は電車のようにぶるぶる震えだし、窓から飛び出しました。「どこに行くのよう」「でかぐもさんのとこだよう」 お月見ができるようにと、えっちゃんとミュウが、大きな雲の“でかぐもさん”やでかぐもを運ぶ“かぜっこ“を訪ねるファンタジー。
このお話は、お月見の準備を頑張る女の子と、その女の子と助ける飼い猫の話でした。大きな雲さんが月を隠してしまったのを、飼い猫が用意したおもちゃの汽車で空を飛んで行って、雲さんの仲間を探して雲さんが動けるようにしてあげていました。うちの子はこのお話を見て、「こうやって曇りの日が本当に晴れにできたらいいね〜!」と言っていました。お団子を作るシーンもあったのですが、今年の十五夜の時にはお団子とか作ってみたくなったそうです。絵本の中の食べものっておいしく見えますね! (イカリサンカクさん 30代・ママ 男の子8歳)
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