オムくんのボールペンは、こびとが出てくる不思議なボールペン。いや な宿題が出ても、ボールペンがひとりで動いてくれるのです!
ぼくは王様シリーズであまりにも有名な、故寺村輝夫氏の一冊です。
これ、ものすごーく、主人公のオムくんに、感情移入してしまう本なんですよね。
面白くて、強烈に印象に残っています。
むかーし昔に読んだ本って、面白いことは覚えているのだけど、結構細部が抜けてたりしますが、
この本は、「ああ、そうそう!」「オムくん次はこうなるんだよね!」と覚えていました。
オムくん、という、当時、なんでこんなヘンな名前なの?と思っていた名前の主人公が(オサムくんなんでしょうね…今頃分かりました)もう、子供の等身大というか…
欲望とかが、自分そのもの、というか…
いやなもの、きらいなもの、こわいものがたくさんあるオムくん。
楽しいことばかりだった入学前とくらべて、小学校になるとやらなくちゃいけないことが格段に増えてくるので、これを読んだ小学校の頃、余計にオムくんには感情移入していました。
不思議なピカリと光るボールペンを拾ったオムくん。
これは、なんと、書けばそのとおりになる、不思議なボールペン。
「オムくんのいうこと」をなんでも聞いてくれる、こびとのピコが、出てくるボールペンなのです。
さあ、このボールペンで、オムくんはやりたい放題。
さんすうの宿題も、いやなイヌも大解決。学校に行くのがいやな時は、ピコに代わりに行って貰います。
子供のころ読んだ時は、ただただ羨ましい〜私もこんなボールペン拾いたい!でしたが、
今読むと、
「うらやましいけど、こんなボールペンがあったら、成長しないぞお、オムくん」
という気持ちも入ってきます。
オムくんのお母さんの描写がまたなんというか…。
どうして大人って、すぐに怒り出すんだろうな、とか
さんすうはこわくありませんが、問題を間違えたときのママの顔がこわいのです、とか。
極めつけは、ママたちは、機嫌のいいとき、嬉しいときは、みんなきれい。というくだり。
あ…は、は、ははは…と思わず母の身分の私は、力なく笑ってしまうのでした。
寺村さんらしい、ラストも秀逸です。
また、王様シリーズでもおなじみの、和歌山静子さんの絵が、懐かしく、自分が読んでいた頃を思い出させてくれます。
そう、金のボールペンを家やなんかで見かけたら、「ピコ?!」なんて、思っていたあの頃なんかが…。 (ルートビアさん 30代・ママ 男の子5歳)
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