ひっそりとした山あいの森。竹がおいしげる中、パンダが竹をかじっています。 食べているのかなと思ったら、もうすぐ生まれてくるあかちゃんに、やわらかくてあたたかいベッドを用意しているんですって! あわいピンク色で生まれた小さなあかちゃんは、ひごとに大きくなり、手と足、肩と耳がだんだん黒くなってきて、竹林や小川にも行けるようになりました。 お母さんに甘えながら、すくすく育つあかちゃんパンダ。 でも1歳になったある日、お母さんはあかちゃんパンダを置いてどこかへ行ってしまいます。 お母さんを探して森を歩き回り、いいにおいに誘われて里におりてきてしまったパンダは…?
本書は、自然保護区から里へおりてきた野生パンダが地元民に助けられるという、中国で実際にあったお話をもとに描かれた絵本です。 鉛筆画で繊細に描かれた、森でパンダが子育てをする姿、あかちゃんパンダがお母さんに甘える姿が愛らしく、貴重で感動的です。 1歳になってすぐ独り立ちしなければならないあかちゃんパンダを見て、子どもたちはいろいろなことを思うのではないでしょうか。
さて、里の家に入りこんだパンダは、おじいさんにびっくりされ、犬にほえられ、森へ逃げ出します。 そのときガンガンガーン!ものすごい音と地面からの衝撃で、ひっくりかえったパンダは…!?
パンダは人間よりはるか昔、800万年も前から、この地球上に生きつづけている動物なのだそうです。 日本ではあまり知られていない野生パンダの姿と、人間とふれあう姿。 その両方が繊細に描かれ、どちらにも気持ちをよせて読むことができます。 地球環境の変化でパンダが暮らす場所は減りつつありますが、いまも森の中でパンダは生きているのですね。 野性のパンダが子育てをする貴重な姿をとらえ、人とのかかわりを描いた作品。 幼い子から小学生まで、たくさんの子どもたちに見てほしい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
山あいに生まれた赤ちゃんパンダと、育てるおかあさんパンダ。やがて独り立ちを迎え……。野生パンダの生態を描いた貴重な絵物語。
野生パンダを地元住民が助ける実話がベースのお話です。
野生パンダの誕生から独り立ちまで、丁寧な鉛筆画がリアルに描きます。
特に子育ての様子は共感できると思います。
優しく、時に厳しく、生きる知恵ですね。
独り立ちしたパンダはある日民家に迷い込みますが、慌てて逃げます。
ところが、森でくつろいでいたところに地震が起こり、
ケガをして動けなくなったところを、偶然、先日の民家のおばあさんに助けられるのですね。
淡々としたストーリーに、素朴で力強い鉛筆画。
それだけに、パンダの豊かな表情がキュートに感じられます。
パンダの豆知識も盛り込まれ、勉強になりました。
幼稚園児くらいからでしょうか。 (レイラさん 50代・ママ )
|