
ひげ先生は人形のお医者さん。人形たちに呼ばれると、いつでも小さなバッグをもってかけつけます。 木の兵隊さんが病気になったときも、テディ・ベアが転んで鼻血を出したときも、消防士の人形が足を折ったときも…。 シロップを飲ませたり、はちみつ味ののどアメをあげたり、添え木をしてあげたり。
赤い縦縞のシャツに蝶ネクタイ。ツイードの上下に、黄色いチョッキ姿がかわいらしいひげ先生は、どんなときも快く親切に人形たちの面倒を見てやります。 はしかと、おたふく風邪と、みずぼうそうと、百日咳にいっぺんにかかってしまって外に出られないピエロの人形には、毎日りんごを届けてあげたんですよ! 人形たちは、みんな、ひげ先生を頼りにしています。 ところが、ある日、ひげ先生が風邪を引いてしまったからさあたいへん…!?
『おやすみなさい おつきさま』など名作絵本を描いたマーガレット・ワイズ・ブラウンが文章を書き、あたたかく懐かしい感じの絵をJ.P.ミラーが描いています。 まるで『ガリバー旅行記』のガリバーのように、大の字で倒れたひげ先生のまわりに、人形たちが集まって、あれやこれやと世話をする姿の、ユーモラスなこと。 先生の熱をはかろうとしたり、のどをライトで照らそうとしたり…、消防士が先生のひざをたたいてみて、足があがるかを試しているのもご愛嬌。 人形たちは、ひげ先生にしてもらったことを、同じようにしてあげているのですね。
「びょうきになったら、でんわだよ。はやく、はやく! それであんしん、もうだいじょうぶ!」 ひげ先生がいたら、どんな人形も、きっと安心。 本書を読む子どもは、人形たちに心を寄せ、お話の世界に入り込むのではないでしょうか。 ほっと安心する子どもの幸福感が、じんわり伝わってくるような絵本です。
本書は、翻訳家の小宮由さんが選ぶ「おひざにおいで」シリーズの1冊。 親子でじっくり絵とお話を楽しめる、良書を集めたシリーズです。 同じくマーガレット・ワイズ・ブラウンが作者に名を連ねる、『まるぽちゃ おまわりさん』もあわせて読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)



ひげせんせいは、にんぎょうのおいしゃさん。けがや病気のにんぎょうたちによばれると、小さなバッグをもってかけつけます。心優しいひげせんせいとにんぎょうたちのやりとりが、ユーモラスでかわいらしい翻訳絵本。翻訳家であり家庭文庫を主宰するこみやゆう氏が、子ども達に自信をもって薦められる良書絵本をあつめた「おひざにおいで」シリーズ第2弾!
木の兵隊さんが、病気になってしまいました。ひげせんせいは、バッグから聴診器をとりだし、心臓の音をききます。もちろん、にんぎょうに心臓はありませんが、にんぎょうたちが安心するのです。テディベアが鼻血を出してしまいました。ひげせんせいは、ベッドにねかせて、手をにぎってやりました。ときには、インフルエンザの予防接種もしてあげます。そうすると、にんぎょうたちは、冬の間、元気にすごすことができるのです。ところが、ある日――なんと、ひげせんせいが風邪をひいてしまったのです……。

タイトル通り、人形が風邪をひいたり、ケガをしたときに、処置してくれるお医者さんのお話でした。
挿絵がとにかくかわいくて、カラフルで温かみがある挿絵を見ると、子どもの時にこんな絵を描きたくて、頑張っていた時のことを思い出しました。
お話も私好みの優しさに溢れたストーリーで、心がホッコリしました。 (ちびっこおばちゃまさん 40代・その他の方 男の子5歳)
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