はるかなむかし、サー・オルフェオという王さまがおりました。 勇敢で慈悲深く、竪琴の名手でもあったサー・オルフェオは、 人びとにしたわれ、幸せに暮らしていました。 ところがある日、愛する妃ヒュロディスを何者かに連れさられた サー・オルフェオは、竪琴だけを手に、城をあとにします……。 中世のイギリスで吟遊詩人たちが語りつたえた壮麗な物語を、 「イメージの魔術師」エロール・ル・カインが華麗な絵本にしました。
イギリスの中世の吟遊詩人が伝えたお話ということ、物語の源がギリシャ神話にあるということ、すべてにおいて無知なまま読み進めていきましたが、その分、お話全体が新鮮なものとしてとらえられたと思います。
どこかちがう世界に入り込んでしまったかのような場面設定に、奇妙なわくわく感をもってしまいます。エロール・ル・カインのケルトの文様を取り入れた絵があまりに神秘的で、心ひかれてしまいました。
外国の古典をひもとくような本の出会いもいいものですね。一つのお話に悲しみと喜びが描かれ、起伏ある人生の流れを感じた一冊でした。 (けいご!さん 30代・ママ 女の子8歳、男の子5歳)
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