「ぱち」と目があいた、目玉がひとつ。 次のページは「ぱち ぱちん」。 まっくろの画面の中、白と黒のコントラストが強い、ふたつの目玉がこちらを見つめています。
そして3つめの見開きは、ぱっと明るい黄色の画面にかわり、口を大きくあけた「ばあ」という顔。 次は、より表情がはっきりしたオレンジの「かお」です。 ページをめくるたびにだんだんカラフルな顔が増え、模様や表情が豊かになっていきます。
本書を試しにあかちゃんに読んでみると、画面に引きこまれるようにじっと見つめる姿が見られます。 実はこれは「あかちゃん研究からうまれた絵本」。 あかちゃんとお母さんへの実験をふまえてつくられた絵本なのです。
作者は『赤ちゃんは世界をどう見ているのか』(平凡社)や『赤ちゃんは顔をよむ』(KADOKAWA)などの著作がある、顔認知学と乳児発達心理学の専門家、山口真美さん。 実験監修は、同じく発達心理学専門家の金沢創さん。試作絵本をあかちゃんとお母さんに読んでもらい、凝視時間や、指差し・発話の回数などをカウントして、反応がよりよかった絵を生かしていったそうです。
生まれたばかりのあかちゃんは視力が未熟で、認識できる色が少ないこと。 生後すぐから顔が好きで、顔らしきものが描かれているとじっと見る習性があること。 最初は白黒のようにハイコントラストの認識から、生後2か月頃に赤や緑、4か月頃には黄色や青が認識できることなど、認識発達に沿った展開で、絵本が構成されているのです。
大人が見てもおしゃれでかわいい絵本に仕上げたのはミスミヨシコさん。 絵本やアニメーションを制作する作家さんです。 貼り絵風の絵に、様々な素材のテクスチャーが混じり、いい味を出しています。
まさに「あかちゃんが好きなもの」が詰め込まれた絵本。 読み聞かせに自信がない新米ママやパパの、1冊目の絵本としても期待できそうですよ。 絵本を見つめるあかちゃんから、あかちゃんの好みや成長を感じとり、一緒にすごす時間を楽しめる……そんな1冊になりますように!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
コントラストの強い白と黒の目、口の配置で、生まれてすぐからあかちゃんは顔を認識します。 あかちゃんの発達順に構成し、あかちゃんとお母さんの反応を実験して作られた、新感覚の絵本。
========== 生まれた時から、あかちゃんは顔が好き。あかちゃんは顔を探し、顔を眺めて楽しみます。 顔はあかちゃんの興味をひくものでいっぱいです。 幼いあかちゃんでも気づきやすいのが、白と黒のコントラストのはっきりした目。くるくる動く目玉。やがてあかちゃんは、表情に気づきます。ニコニコと笑った楽しい顔と、驚いた顔や困った顔。あかちゃんは顔から、お母さんとのつながりを学習していくのです。 この絵本はあかちゃんの大好きな顔を、あかちゃんの見える絵や色で描いています。この絵本であかちゃん世界を知り、あかちゃんの成長を楽しんでみてください。 ――山口真美 中央大学文学部心理学研究室教授/日本赤ちゃん学会事務局長 ========== 絵本の読み聞かせ実験の中で「この本は親子のコミュニケーションに役立っている!」と強く感じられる瞬間が何度もありました。見つめる、発話する、笑う、指さす。この絵本には、こうした行動をあかちゃんから引き出す力があります。それはこの本が、あかちゃん世界にあわせたデザインになっているからです。 ――金沢創 日本女子大学人間社会学部心理学科教授 ==========
赤ちゃんにオススメです。
いろんな色と形の顔が
たくさんでてきます。
大きかったり、細長かったり。
表情もバラバラで楽しいです。
表情に合わせて
顔の後ろの背景も変わっています。
そこまで赤ちゃんが気づかないと思いますが、
刺激があっていいと思います。 (ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子14歳)
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