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木のうえに、トラがいる! それを見た人々は、おどろきあわてて、どうしよう? つかまえよう! おっかなびっくり、やっとあみにとらえた。でも、それから…どうする? ユーモラスで力強い版画イラストと、リズミカルな言葉の連動をお楽しみください。1999年ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞受賞
朱赤と墨が映える表紙、おーい、読んでよーって誘われてしまった。トラがあれ?木の上じゃないぞ、川じゃん!へぇー、どれどれ…とページ繰る。
どこか懐かしい、色つき影絵か、氏神さま境内で見ていた紙芝居を思い出した。ページ上の文字が、絵本の後ろから誰かが、声を出して語っているように思えたのだ。その距離がとても楽しい。
版画風の朱赤と墨2色。トラと川(ざっぷーん)、トラとヤギと木(ひゃぁーー)、トラと網と木(かみつくかなぁ)、どこまでも分かりやすく、ワクワクする。アヌシュカ先生とプラク画伯の目線が、私の気持ちを先導してくれているようだ。
村人たちの表情、動作、意見、合議、挙手…どれもこれも見る者、聞く者の気持ちと一緒になって、ページ上の文字に書き表わされているようだ。素敵なその構成が、時を忘れて絵本に参画させてくれる。
そして微笑ましいほどのお終い。トラさん、トラさん、今はどうしてるのかなぁ、と思いを馳せる。あぁ、待ってましたよって、つい言いたくなってしまった。
アヌシュカ先生とプラク画伯、そして評論社に
こころから感謝。 (もゆらさん 60代・その他の方 )
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