暑くもなく、寒くもなく、ごく平凡なある日の午後。空高く飛んだホームランボールが、家のレンガの煙突にすぽり。そのまま勢いつけて落ちていき……。これが、このあと続く、とんでもない出来事のはじまりだったのです。
ボールは、灰を辺りにまき散らしながら暖炉を飛び出し、どすんと跳ね返り、部屋の壁の額を次々落とし、食器の棚をつきやぶり、ジャーンと鍋ふたを響かせて。あらあら、なんてこと!
ボールの勢いはとまりません。はねて、はねて、そのままトントン階段を駆け上がり、子ども部屋も水場もパパの書斎まで……!? ああ、もうメチャクチャ。こんな事ってあるの? 顔を手でおおいたくなる気持ちになりながら、それでもボールの動きを目で追っていくと……?それはもう、見事なエンディング。
関係ない読者までがオロオロしてしまうほど、どこまでも迷惑なホームランボール。だけど打ち上げたのは、きっとどこかの無邪気な子どもたち(ヒントはどこかに隠されてます)。無邪気そのまま、暴れっぷりも清々しく。不思議とだんだん笑いが込みあげてくるのです。理不尽だけれど、それが正解?
繊細な線と、上品な色彩。センス良いインテリアと小道具でまとめられている……のに、この内容。その裏切りも含めて、コメディ映画のワンシーンのような楽しさとおかしみのある絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
あつくもなくて、さむくもない、そんなある日の午後のこと、少年たちのホームランボールが、すぽりとレンガのえんとつに。ボールは暖炉から飛びだして、家のあちこちに跳ねていき……。
おだやかな昼下がり、とつぜんの闖入者におおさわぎ! コメディ映画の一幕のような、おかしみたっぷりの絵本です。
同じ作家さんの作品『おうさまのおひっこし』が大好きなので、こちらも読んでみたいと思いました。
大人っぽい色使いのおしゃれなイラストで、読む前からワクワクします。
ホームランボールがえんとつに入ってしまい、家中をコロコロと転がります。ただそのせいで水浸しとなり、インクが壁に……と大変なことに。
ラストもまたおしゃれでした。
大人にもおすすめの絵本です。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子17歳、男の子14歳)
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