室井滋さんと長谷川義史さんがタッグを組んだ最新作。 小学生のケイちゃんは、施設にいるおばあちゃんと会えなくなったことが我慢できなくて、こっそりおばあちゃんを訪ねていきます。 施設に入れず、おばあちゃんがいる3階の窓を見上げるケイちゃんと、窓の向こうから手をふるおばあちゃん。 ふたりのやりとりが、ケイちゃんの日記の形で綴られていきます。
「会いたい」。ケイちゃんの思いは、ひたすらまっすぐで痛いほど。 どうして会えないの? おばあちゃんに喜んでほしい。頭をなでてほしい。ほんとはだっこしてほしい。 そんなケイちゃんに、おばあちゃんは糸電話をつかって「昔の人のこと」を話してくれます。 昔は、大好きな人に会うのも命がけだったこと。 「1年に1回、一生に一度……。やっと会えても、もう二度とってことが 当たり前だったんだ」
コロナ禍、会いたい人に会えていたことがどんなに貴重だったか、今は世界中の人が実感していると思います。 メールやSNSですぐ連絡がつく時代。意志さえあれば遠い場所にいる人にだって会えていた。私たちはそんな便利を当然に思いすぎていました。
「会えない分、思いは強くなるよ」 「時間を止めて、じっくり世界を見つめてごらん」 おばあちゃんがケイちゃんに伝えるメッセージに、ハッとさせられます。
どんなに納得しようとしても、さびしい、やり場のない気持ちは変わりません。けれども、この絵本のなかでおばあちゃんが丁寧に丁寧に語りかける言葉は、みんなの誰かを思う気持ちを、そっと大切に包みこんでくれるように感じます。 「大丈夫。心は繋がっているからね。」と言ってもらっているような……。
時間を止めて「会いたい」思いと向き合う時間に。ゆっくり味わって読みたい絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
室井滋&長谷川義史が贈る、あったか絵本!
「でもね、会えない分、思いは強くなるんだよ」--
ベストセラー絵本『しげちゃん』のコンビ、女優・室井滋さんと絵本作家・長谷川義史さんの最新作!いま届けたい、大切な人を想うピュアな気持ちを、柔らかであたたかい色彩で描き出しています。
かけがえのない大切なかたへの贈り物にもオススメです。
コロナ禍は、一番会いたい人に、相手を思えば思うほど会えない、会うのを躊躇するという、これまでにない状況を生み出しました。そうした中で、この絵本は誕生しました。
「○月×日 日よう日 晴れ ボク、赤いカーネーションを一本買った。 お花やさんのおばさんはピンク色を一本おまけしてくれたよ。 ひまわりホームにいる ボクのおばあちゃん
よろこぶかなあ?」
そんなケイちゃんの絵日記から始まる物語。ママからは「ホームへしばらく行っちゃダメ!」と言われますが、ケイちゃんはおばあちゃんに会いに行きます。
ケイちゃんは無事におばあちゃんに会えるのか。ドキドキの先に待っているのは驚きの展開。そしておばあちゃんがケイちゃんに語りかける言葉には、人生で大切にしたい想いが詰まっています。
【編集担当からのおすすめ情報】 コロナ禍は子供たちにはどんなふうに見えているのだろう。将来の見えない不安に苛まれているのはきっと大人だけではないはず。友達と遊んだり、おじいちゃんやおばあちゃんと会うのもはばかれる今、子供たちにちゃんと「繋がっている」こと、「心は通じている」こと、何より「いつもいつまでも愛している」ことを伝えられたらという思いから、室井さんと長谷川さんに絵本のお願いをしました。
長谷川義史さんといえば、『パンやのろくちゃん』や『いいからいいから』をはじめ、ダイナミックであたたかみのある絵が魅力ですが、今回、その魅力はそのままに、新たな挑戦をして頂いています。ガラスペンで描かれた絵は繊細であたたかく、少年とおばあちゃんの心の中が胸に染み込み迫って来ます。そして絵日記部分はクレヨンで。ページをめくるたびに発見と驚きのある絵は一見の価値あり。いつまでも手許に置いて読んで頂きたいと思います。 子供へのプレゼントにはもちろん、大切なかたへの贈り物としても喜ばれると思います。ぜひお手に取ってご覧ください。
コロナ禍2年。
なんとなく、会えないのが(会わないのが)当たり前になりつつある今。
リモートが便利だなと、文明の利器をありがたく思う一方で、
やっぱり会いたい、話したい・・。
施設にいるおばあちゃんに会いたいボク。
そんなままならない中
おばあちゃんが秘密兵器を出してくれる。
「糸電話」
携帯電話ではなく、糸電話。
アナログのよさ、ぬくもりが伝わる、
絵日記調の構成も
とてもあたたかいものでした。
大切な人に、会いたいね・・。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子17歳)
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