1977年初版の傑作! 待望の復刊。 西山にしょんぼり日が落ちたころ、山のふもとから、なまあったかい風とともに足をべったらべったらさせて三つ目がやってきた。そこへ娘がやってきて「こおら、おまえをくってやる」と三つ目は首をつきだす。 「くわれてもいいけんど、これのませっから、そのくび、もっとのばしてみせてくれや。」 油を差し出した娘は「いぐいぐいぐ ごじゃらばごじゃれ。」と三つ目のくびがのびる呪文を唱え、田んぼの雄がえるも「いぐいぐいぐいぐ。」雌がえるも「ごじゃらばごじゃれ ごじゃらばごじゃれ。」となきだして・・・。
三つ目のくびがのびてのびてつながっていく様が絵巻物みたい。黒い台紙に貼り付けるようにレイアウトされた、赤絵のような色合いが鮮やか。日本ではないアジアのどこかの国の絵だといわれてもうなずけそう。 一見平面的な筆絵で描かれた道を、ずーっとたどって何かがやってくるような・・・道がつづき空間がつづき立ち上がってくるような・・・これこそ梶山俊夫さんの絵の魔力!と感じます。ちょっとこわくておかしい、美しい。表紙の版画絵もすばらしい(個人的に部屋に飾りたい!)。貴重な本、どうぞ手にとってごらんください。
お話はくりかえし「いぐいぐいぐいぐ」「ごじゃらばごじゃれ」「しゅるしゅるしゅるしゅるう」と呪文をとなえるのが楽しい。いちばん最後のページで、三つ目はその後どうなったかを「そうや、みみずにきいてみたらどうやろか」と投げかけているのもみどころです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
里の娘に「首をのばせば自分のことを食べてよい」ともちかけれた化け物三つ目。「いぐいぐいぐいぐごじゃらばごじゃれ」のかけ声とともに三つ目の首は伸びはじめます。娘のかけ声に呼応するように田んぼのカエルも「いぐいぐいぐいぐごじゃらばごじゃれ」と鳴き出して、三つ目の首は伸びる伸びる…。繰り返しのかけ声が印象的な名作(1977年初版)が復刊です。
声に出して読んであげたい一冊ですね。化け物は目が三つあって怖いし、変な呪文で首はどんどん伸びていくし、ばあさんが化け物の首ちょきんと切ったら、娘さん食べられずに済んでめでたしめでたし、というわかり易いお話です。 (梅木水晶さん 30代・ママ 女の子3歳、男の子0歳)
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