通知表って何であるんだろう? 通知表でぼくらの何が分かるの? 一年生のときからずーっと通知表は「よくできる」「できる」「もうすこし」のうち、「できる」ばかり。フツーなことにコンプレックスを感じている小学四年生の朝陽は、担任の橋本先生の通知表を作ることを思いつきます。そして少人数で作るのではなくクラス全員を巻き込んで作ることにしたのですが……。いざ通知表を作るとなったら、なんだか難しい。他の先生と比べてつけて良いものか? 通知表の評価項目はどうするのが良い? そもそも人が人を評価するのってどうなの? さまざまな疑問が湧きながら、通知表について調べて考え、答えを探していきます。
さらに学校では、三月に「十才のゆめ発表会」が行われます。十才になる四年生が将来の夢を一人一人発表するという行事で保護者も参加します。この行事についても通知表でぜんぶ真ん中と言われている朝陽にはピンとくるものがなく悩みの種に。クラスには他にも言える夢がないという子がいて、担任の橋本先生は他のクラスの大久保先生に相談してくれるのですが、大久保先生は「三組だけ勝手なことをしてもらっては困る」と言います。そのやりとりを見た朝陽は、担任の橋本先生の体面のために取り繕って発表するか、それとも「なりたいものがない」と本当のことを言うかでますます悩んでしまいます。
このベテランでいつも偉そうにしている大久保先生と、ちょっと頼りない若手の橋本先生。この二人の先生それぞれが、子どもたちに伝える言葉や接し方の違いも作品の中で大きく注目したいところです。大久保先生の言うことはもっともでありながら小学生たちを納得させるものではなく、自信なさげだけれど子どもたちの前でありのままの姿を見せ続ける橋本先生の言葉の方が、不思議と子どもたちを納得させる力があるのです。その違いはいったいどこにあるのでしょうか。
『となりの火星人』『あした、また学校で』『だれもみえない教室で』など学校生活で子どもたちが抱く疑問や違和感に寄り添う作品を生み出し続けている児童文学作家の工藤純子さんによるお話。この作品からは、小学生たちが学校生活の中で抱くさまざまな疑問の声、訴えが聞こえてきます。その疑問をそのままにせず行動する小学生たちと一緒に、それぞれ納得のいく答えを見つけてみませんか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
1年生のときからずーっと通知表に「できる」とだけ書かれてフツーなことにコンプレックスを感じている朝陽(あさひ)も、「よくできる」がいっぱいの優等生の叶希(とき)も、体育以外は「もうすこし」ばっかりの大河(たいが)も、みーんな心の中では思っている。 「通知表なんて、ただの紙切れじゃん。あんなので、ぼくらの何がわかるの?」 「通知表があるから、よけいにやる気がなくなるんだ」 「あたしだって、通知表なんて、いらない!」 たしかに、そうだ。思えば通知表って何であるんだろ? あれを見たって、どこをどう直せば成績が上がるのかなんてわからないじゃないか! そういえば朝陽のお父さんが言っていた。会社では、部下が上司の成績をつけることがあるんだって。 「ねえ、先生の通知表をつけようよ」 朝陽の一言から、クラス一丸となって担任のハシケン先生の通知表作りが始まった。でも、人に成績をつけるって、こんなに難しいことだったのか!?
「通知表」に「内申書」。
親の私たちも子供達世代も、学生時代には少なからず気にして通ってきた評価ですよね。
大人になっても会社で査定をつけられたり。
どうも数字化したがる世の中ですね。
人間の価値って何だろう?そんなことも考えてしまいます。 (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子12歳)
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