「てがみがきたな」
暗い洋館の扉を開け、ひっそり静か……でも気配の充満しているその部屋を、手紙を握って通り抜けるのはゆうびんやさん。
「きしししし」 「まちにまった てがみがきた」
実体があるような、ないような。おぞましいような、愛らしいような。そこにいるのは大勢の幽霊たち。どうやら彼らは手紙がきたのを喜んでいるらしい。手紙の宛先は、まだまだ見えぬ謎の洋館の上に住むあるじ。てんやわんや大騒ぎの彼らに囲まれ、いったいゆうびんやさんは無事に配達を完了することができるのか。
とんでもない絵本が届きました。ゆうびんやさんは、ただ手紙を届けたいだけなのに、待ち受けているのは、想像を超えるクライマックス。恐ろしいはずなのに、どこか懐かしく、居心地が良く、美しく……。これが網代幸介さんの世界なのかと驚いていると、ぽいっと日常にはきだされる。あれれ、今自分には何が起きたのか。
子どもから大人まで。ぽかんとした顔で絵本を閉じるのは、きっと同じ。これはクセになりそうです……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ゆうびんやさんの運命は。 謎の洋館。待ちうけるおばけたち。 幻想的な作品世界で人気の画家・網代幸介が描く、てんやわんやな配達奇譚。
◎発刊前から大注目の声、続々!
網代さんの作りあげる劇場が好きでたまらないのです。本の中=劇場世界=架空でいっとき遊んで日常に戻ることがどんなに素敵な時間か。 ――ナディッフモダン/飯塚芽さん
網代さんの絵を見る人は、そこに物語を見つけてしまう。 立入禁止のさびれた暗がりにも誰かからの手紙を待っている存在がいる。 それは幼年期にふとひとりになったときに訪れる感覚に似ていて、心地よいノスタルジーに包まれた。 ――かもめブックス/前田隆紀さん
かつての場所へ届けられた手紙 暗がりに響く奇妙な声 手紙といっしょに飲み込まれていく 心地よいふしぎの世界へ ――曲線/菅原匠子さん
ページを追うごとにゾクゾク、でも続きが気になってページをめくる手が止められません! 読み終わった今も夢心地です。網代ワールド、クセになりそう! ――長崎書店/中山理紗さん
身震いするほどの濃密な絵の中に一瞬で吸い込まれる。まとわりつく霊魂たち。闇間にひびく笑い声。 彼らは待っている。何を待っているのかすら忘れてしまうほどの長いあいだ。その時が訪れて初めて、これを待っていたのだと気づく。夜が明けて、ふと、わたしも何かをずっと待っているのかもしれないと思った。 ――ON READING/黒田杏子さん
網代さんの世界は不気味で可笑しくいつも優しい。 こんなに恐ろしくて美しい館で、これほど妖しく魅力的な住人たちと出会ってしまったら、私はもうこちらへ戻ってこられないかもしれない! ――本・中川/中川美里さん
暗闇の中にまだもっともっと奥行きがありそうで、この世界のことを知りたくて目を凝らして見ました。 ――FOLK old bookstore/吉村祥さん
ゾクゾクワクワクの緊張のなかで希望をなんとか探しだし、怖ければ戻ってもいいし、先を急いでもいい。いつのまにか好奇心に主導権を握られ、勝手にページがめくられる。もう止まらない。 この絵本が世に出ることに強烈なスリルを感じているとともに、いろんな人のいろんな感想を聞けることを楽しみにしています。早く本を手にしたい。原画を見てみたい。きしししし。 ――URESICA/ダイ小林さん
全ページ見開きで、網代幸介さんの画をこれでもか! と楽しめる一冊。 相変わらずの摩訶不思議な物語も、最後にはみんな愛おしい。 手紙を待って…
タイトルも表紙の絵も、なんだか怪しげでとても気になりました。
古いお屋敷に手紙を届けにきた郵便屋さん。そこにはそこらじゅうに幽霊がいて、それぞれ手紙を待っている様子。手紙が来たということで、宴をひらく?というなんともふしぎな館です。
怖くて不気味。でもクスッと笑える。子供よりも大人が楽しい作品かなと思います。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
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