港町のそばに住むエリンは、海に出たくてたまらない。でも、海には危険な「まっくろ岩」があるという。漁師たちは、その恐ろしさをエリンに語り、ママの船には乗せてもらえない。
「岩なのに、うごきまわるんじゃ」「ノコギリみたいにするどいの」
そんな話を聞いたって、エリンはちっとも怖くない。秘密でいっぱいの「まっくろ岩」に惹かれるばかり。そんなある日、エリンはこっそりママの漁船に乗り込むと、深い霧の中で突然「まっくろ岩」がその姿を現した。急旋回した船から振り落とされ、海に落ちてしまったエリンを助けてくれたのは、なんと……。
少女エリンの冒険は、思わぬ方向へ進みます。「まっくろ岩」を破壊する相談をはじめる大人たちに対し、エリンは「まっくろ岩」の本当の姿を知っていくのです。彼女は「まっくろ岩」を救うことができるのでしょうか。
コマ割りの展開や、縦開きの見開きなどを使いながら、テンポよく物語に引きこんでいってくれるこの絵本。2018 年のケイト・グリーナウェイ賞にノミネート、同年のウォーターストーンズ児童書賞(絵本部門)を受賞。イギリスで大注目の若手作家が描く、現代のおとぎ話です。それは幻想的だけれど決して他人事ではなく、自分たちの心に突き刺さります。自然のことを知り、信じるもののために行動する勇気。今の私たちにこそ、求められていることなのかもしれませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「まっくろ岩」をひと目見たいと、内緒でママの漁船に乗り込んだエリン。ところが深い霧の中、突然姿をあらわした「まっくろ岩」をよけようと急旋回した船から振り落とされ、人知れず海に落ちてしまいます。深く深く、暗い海のそこへ沈んでいくエリンをそっとすくいあげてくれたのは、なんとおそろしい怪物だと聞いていた「まっくろ岩」でした。まわりには、何百種類もの生き物たち。豊かな海の光景がひろがっています。「まっくろ岩」はたくさんの生き物たちの「すみか」だったのです。ところが大人たちは「おそろしい怪物が動きだした!」と、「まっくろ岩」を破壊する相談をはじめて……。 信じるもののために立ち上がる勇気、そして自然とのやさしい関係。2018 年のケイト・グリーナウェイ賞にノミネート、同年のウォーターストーンズ児童書賞(絵本部門)を受賞。イギリスで大注目の若手作家が描く、現代のおとぎ話です。
まっくろ岩は、魚たちとともに生きている、海の象徴のような存在です。
岩なのに動き回る、船がぶつかって遭難してしまう、何よりもまっくろ岩は生きているのです。
大人たちはその岩を破壊しようとしましたが、岩に助けられ、岩の秘密を知ったエリンは、それを阻止しようとします。
自然との共存を考える絵本です。
何より、スタントンはそれをやさしくファンタスティックに、描いていました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
|