「みんなに おやすみをいってから ねましょうね」
おかあさんに言われた女の子は、みんなにおやすみを言いにいきます。おとうさんに、おにいちゃんたちに、ことりさんにも、おやすみなさい。みんなって、あとはだれかな。
そうだ、お隣のしいちゃんにも。まーくんにも町のみんなにも。ポストにも横断歩道にも毎日渡る橋にも、きらきらひかる海にも、おつきさまにも……!
子どもたちがベッドに入り、楽しい夢を見るほんのちょっと前。その隙間の時間の中で、女の子は、お友だちと一緒に自由自在に夜の世界を駆けまわります。パジャマを着て、裸足で夜の町を走り抜け、一気に空へと飛びたち、お月さまやお星さまを抱きしめるその姿。登場するのはよく知った景色ばかりのはずなのに、とても幻想的で楽しげで、見ているだけで胸が高鳴ってくるのです。
日本では本作が初めての出版となる、はっとりさちえさんの描く夜の子どもたち。身近でありながら、どこか異国の雰囲気を漂わせ。ドキドキするほど素敵な色彩とテキスタイルが画面いっぱいに広がりながらも、クラシカルな魅力を味わうことのできるこの絵本。毎日やってくる「おやすみ前の時間」を、ほんのりと彩ってくれます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
寝る前に、女の子は、お母さんから「みんなに おやすみを いってから ねましょうね」と言われました。女の子は家族だけでなく、隣に住む友だちにも「おやすみ」を言おうと外に飛び出します。大勢の友だちといっしょに、あらゆるものに「おやすみ」を言いながら街を抜け、橋を渡り、海にもぐり、ついにおつきさまに「おやすみ」を言いに空へとびたちます。自由自在に夜の世界を駆け抜ける子どもたちを描いた作品です。
鮮やかな色彩に優しい子どもたちの表情が印象的な絵本です。
女の子がみーんなにおやすみを言いに行きます。1ページ1ページが画集のように美しく丁寧に描かれており、そのまま飾っておきたいくらいです。次は何におやすみを言うのかな、この後どうなるのかな、とワクワクしながら読み進めることができました。
登場する子どもたちも描き分けがしっかりなされており、どこにいるのか探し絵遊びも楽しめます。
字の無いページが上手く使われており、抽象的過ぎずにちょうど良く、親子の対話や想像力をかき立てる内容になっています。
息子はこの絵本がお気に入りで、寝る前に何度も読むようせがまれています。「おやすみなさい」が言えるようになったのも、この絵本のおかげです。
ボロボロになってしまったのでもう1冊飾る用に欲しいなと思っています。
幅広い年齢で楽しめる良い絵本だと思います。 (ぱそがえるさん 30代・ママ 男の子2歳)
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