今日から新しい学校、やだな。最初に聞かれるのはおんなか、おとこか。
「どっちでも いいじゃん!」
すると、まわりの子も聞かれたくないことを次々に口にします。どうして本ばかり読んでるの? どうしてそんなにちびなの? どこの国の人ですか?どうしてともだちがいないの? そんな質問しないでほしい。だれもがみんなちがって当たり前なのに。
「なにが できるかをきいて!なにが できないかじゃなくて」
そうだよね。それならはりきって答えられる。みんなは自分に聞いてほしいことを言っていきます。それは……。
学校にあつまってくるのは、個性的な子どもたちばかり。見た目だって、性格だって、聞かれたくないこと、聞いてほしいことも全然ちがいます。でも共通しているのは、自分を知ってほしいという気持ち。そうやって自分を知ってもらって、相手のことも知っていく。ひとりひとりを尊重するって、こういうことなのかな。
難しい言葉があるわけではないけれど、その会話や、魅力的に描かれた子どもたちの表情を見ていると、答えがわかるような気がしてきます。そして、こんな声が聞こえてきたら、それはもう、しっかりと耳をかたむけなくちゃいけませんよね。
「ねえ、きいて!」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
転校初日に男か女かきかれた女の子が「どっちでも いいじゃん!」というと、子どもたちが集まってきて、自分がきかれたくないこと、きいてほしいことをつぎつぎと口にする。その内容はさまざまだが、共通しているのは、自分を知ってほしいという気持ち。シンプルなことばとやさしいタッチの絵で子どもたちの思いを描いて、多様性が謳われる現代にひとりひとりを尊重するとはどういうことかを問いかける絵本。
転校生が、初めて新しい学校に登校する時に言った言葉が衝撃的でした。
「男か女かなんてどっちでもいいじゃん」という一言に、前の学校ではいじめを受けていたことを感じさせました。
それから出会う友だちの、一面と別の姿が紹介されていきます。
まわりから見られる自分と、見られたい自分があることが、次々に出てきて考えさせられます。
脈絡のない展開ですが、気づかされることの多い絵本です。
今、多様性の社会の中で、先入観、偏見こそが、理解し合うことへの弊害になっていることをあらためて感じました。
出てくる人物の一人ひとりが、大切にされるべき課題を抱えているように思える絵本でした。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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