
ぼくが乗った気球は、荒れ狂う嵐にさらわれ、プラハの街に舞い降りた。どこからともなく、現われた不思議な猫。その猫について、ぼくは街をさまよい、街にまつわる伝説を読み進めてゆく。読み終わるたびに、ぼくの手には金の鍵が残されて……。魔法と幻想の街、プラハの夢と闇を、プラハ育ちのピーター・シスが描いた傑作。

なんとも不思議な絵本です。幻想的であり、暗示的であり、知らず自分を取り囲んでしまう原風景のような絵本です。
チェコスロバキアのプラハで育ち、歴史の中で大きな荒波を越えてきた、ピーター・シスだから描ける世界かもしれません。
どこか沈んだ風景の中で見え隠れする幾多の人間たちが印象的です。
三つの鍵を開けて辿り着いたところは、ピーター・シスの育った家と家族の団欒という、意味深なエンディングでした。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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