魔法が使えて、ほうきに乗って空を飛べる……。子どもの頃、一度は憧れたことがあるでしょうか。 でも魔女ってなんだか遠い存在? いえいえ、とっても親しみやすくてかわいい魔女がここにいます。
その名はキキ。キキは魔女のお母さんと、人間のお父さんの間に生まれた女の子。 “13歳になったら、魔女としてひとり立ちするために、家を離れて知らない町で1年間暮らす”というきまりに従って、キキは満月の夜、ほうきに乗って相棒の黒猫ジジと一緒に新しい町へと旅立ちます。辿り着いたのは、きれいな海に囲まれたコリコの町。想像していたよりも大きな町ではあったけれど、ひと目で気に入ったキキはこの町で修行することにします。幸運にもグーチョキパン屋のおソノさんと出会い、下宿させてもらいながら、持っているたったひとつの魔法“ほうきで空を飛ぶこと”を生かして、お届けもの屋さんをはじめるのです。
ここでは魔法はたったひとつということが重要なポイント。ひとつだからこそ、自信をなくした時の落ち込みは相当なものですが、ひとつだからこそ、それを生かせたときの喜びが大きく伝わってくるのです。
お話のお楽しみは、なんといってもキキが運ぶもののさまざまなエピソード! 中でも、わんぱく坊主のお誕生日プレゼントに黒猫のぬいぐるみを運ぶエピソードはユーモアたっぷり。途中で大事なぬいぐるみを空から落としてしまったキキはいったいどうしたのでしょう? 知らない町での魔女修行はうまくいくことばかりではないけれど、つまずきながらも前に進んでいくキキからはたくさんの勇気をもらえます。
スタジオジブリのアニメやミュージカル、さらに2014年春には実写映画にもなりました。魔女のキキは子どもから大人まで日本で一番有名な魔女かもしれませんね。「魔女の宅急便」シリーズは全部で6巻。自立や、進む道への悩み、自身のこと、恋愛、結婚など、さまざまな事に悩んだり、傷つきながらも、何度も立ち上がり成長していくキキの姿は、読む人に大きな共感をもって愛されています。 キキと同年齢の子どもたちだけでなく、大人になってから、また子育て中の親御さんなど、読む時期によって共感する部分や気づきが変わっていくところも、長く読み継がれている所以でしょう。親から子へ、またその子どもへ、と世代を超えて丁寧に読み継いでいきたいお話です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
ひとり立ちした魔女の子キキが、新しい町ではじめた商売は?相棒の黒猫ジジと喜び悲しみを共にしながら、町の人たちに受け入れられるようになるまでの1年をさわやかに描いた物語。
現在年長の娘に、寝る前に読み聞かせていました。
もともと映画が大好きで、何十回もみてセリフも全て覚えている娘ですが、本ではかなり設定が違っています。
お話も長く、年長さんには難しいかな、と思いましたが、全然大丈夫でした。毎晩、とても楽しみに聞いていて、「今日も読んで!」と真っ先に持ってきていました。
13歳の魔女のキキが、ひとり立ちして、知らない街でいろんなことを乗り越えていくお話。生まれた時から一緒に育った、黒猫のジジと一緒に。
キキのかあさんの気持ちも、痛いほど伝わってきて、最終章では泣きそうになりながら読み聞かせました。
映画にはないシーンですが、1年が経ち、里帰りする場面も描かれていて、そこがとっても好きです。さわやかな読後感で、勇気をもらえる本でした。
大人が読んでも面白いです。娘もラストまで、とても良い表情で聞いていました。6巻まで、ぜひ読みたいと思います。 (solicaさん 30代・ママ 女の子5歳、女の子2歳)
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