『星の王子さま』は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの作品で、アメリカで1943年にはじめて出版されました。 日本では1953年に岩波少年文庫からはじめて『星の王子さま』というタイトルで発売されました(内藤濯訳)。 以後、不朽の名作として子供から大人まで数多くの人々に親しまれ、日本では600万部、世界では8000万部発行されています。 日本でも様々な訳が出版されていますが、もともとこの本は児童文学とはいえ、大人に向けたメッセージ性に富んだ内容です。
本書はスピリチャリズムなどに精通した浅岡夢二さんによる新訳で、より『星の王子さま』の精神世界を表現しています。 また、今まではサン=テグジュペリによる挿し絵が主に使われていましたが、本書では画家の葉祥明氏によるイラストを採用。原画の雰囲気を残しながらも、葉氏独特のあたたかいイラストで、『星の王子さま』の世界をより親しみやすい一冊に仕上げました。
星の王子さまといえば、子どもから大人まで、様々に読まれている名作です。
でも、含みの多い謎解きのような展開に、足を踏み込めずにいた作品でした。
しかし、高校時代の学友が訳しているとなれば特別の思いで読み始めました。
訳者浅岡夢二さんは、児童文学者ではなく、文学者でもなく、精神世界、スピリチュアル関連領域を研究された研究者でした。
その研究技術をしてサン=テグジュペリの名作の訳は、解析のような切り口で、伝わってきました。
あとがきも丁寧で、少し作者の世界に踏み込めたように思います。
ただ、私の知っている「星の王子さま」は、固定的な絵のイメージが染みついていて、葉祥明さんの絵が縮んで見えたことが残念でした。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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