都会の街なかにある、だれも知らない小さな森。気に留める人もなく、まるでぽっかりとあいた穴のよう。けれど、奥へ入っていけば立派な木が何本もある。
すぐ隣に住む少年は、毎朝窓から森をのぞきこんだ後、支度をすると歩いて学校へと向かう。行きも帰りも、学校でもひとり。長い一日が終わると、少年は森の中の友達に会いに行く。
そこにゾウがいることを知っているのは少年だけ。手で触れ、話しかけ、一緒に遊ぶ。彼にとっては特別な場所なのだ。
ところがある日、森の木の幹に大きなばってんがつけられていた。この場所がとうとう売りに出されたのだ。
「ぞうは どうなるの?」
大事な友達を守りたい一心で森の中へ向かった少年の目の前で、奇跡が起き……。
ケイト・グリーナウェイ賞受賞画家の新作絵本。目で追っていくだけで見えてくるストーリー、じっくり味わうことで浮かび上がってくる様々な状況や感情。少年と、森の中に存在する動物たちの関係がどれほど大切なものだったのだろうか。最後の信じられない光景に、熱い思いがわきあがってくる。まさに「絵を読む」絵本。想像力を働かせながら、この壮大な物語の世界に浸ってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
都会の街なかにある、だれも知らない小さな森。そこには男の子のだいじな友だちがいた。森が伐採される日の早朝、信じられない奇跡が起こる!ケイト・グリーナウェイ賞作家が描く壮大な物語絵本。
タイトルに惹かれ、手に取りました。
森の木が、実はぞうであることを知っている男の子。
いつもその木に寄り添っていたのですが、あるときその木が伐採されることを知って……というおはなし。
夢と現実の真ん中くらいの、とても不思議で美しい物語でした。
イラストもとても優しくて癒されました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子17歳、男の子15歳)
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