
小さな賢いオオカミは、もっと賢くなるためにもっとたくさん本を読みたいと思っていました。
とおいとおいやまのむこうに、「ちいさなかしこいオオカミ」がすんでいました。 森のみんなはわからないことがあると、オオカミのところへききにきます。でも、ちいさなかしこいオオカミは言うのでした。 「みんなにこたえてるひまはないんだ……」 ある日、王さまの重いやまいをなおすため、オオカミはお城へ一人で出かけていきました。お城はずいぶんと遠く、オオカミは迷子になってしまいます。 「ぼくって、みんながいうほど、かしこくないんだ。おうさまのやまいなんて、ぼくにはなおせっこない」…くたくたで、さむくて、足がいたくて、おなかがすいたオオカミを助けてくれたのは、森のみんなでした。 小さなかしこいオオカミは、もっとかしこくなるためには、森のみんなに教わることがもっとたくさんあることを知ります。 いまでは、みんながたずねてきても、いそがしくてひまがないとはおもいません。 もしかすると、まえよりもっとたくさん本を読んでいても。 ちいさなかしこいオオカミは、友達に教えたり教えてもらったりすることで、もっとかしこくなれたのでした。

「ちいさなかしこいオオカミ」というけれど、独りよがりで、ちょっと思慮に欠けるオオカミでした。
自意識過剰で、森の仲間たちを無視して暮らしていました。
でも、森の仲間のやさしさに救われたのです。
仲間たちは、オオカミの困難を助けはしても、決してそれ以上のお節介をするわけではありません。
そんな彼らを見てオオカミは、今までの自分がいかに傲慢であったかを悟ったのです。
オオカミは、恵まれた環境で生きるのではなくて、自分を支えてくれた仲間たちの所へ戻っていきます。
仲間たちの大切さに気づいたことこそが、この絵本の学びだと思います。
ハネケ・シーメンスマさんの絵が素敵です。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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