フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ5巻は、日本民話『ふしぎなたいこ』。
「むかし、むかし、あったんど」 東北弁の口語で書かれた文章に、生命力あふれる田島征三さんの絵が見事にマッチしたおおらかで迫力ある絵本です。
昔々、ある村に、源五郎どんという若者が住んでいました。山へ仕事へ出かけた源五郎どんは、天狗さまに出会い、たたけば鼻が伸びる不思議なたいこをもらいます。 「ひとつ やくそく あっぞ。 じぶんの鼻ば のばしては なんねことだ!」 と天狗さまと約束した源五郎どんですが、色んな人の鼻を伸ばしているうちになんだか楽しくなってきて、とうとう自分の鼻を高くたかーく伸ばしてしまい―――!?
縦方向に開く判型も面白いので、ぜひお子さんをおひざに座らせて、一緒に開きながら声に出して読んでみて下さい。 そして、「トコトントン トコトントン ●●ちゃんの鼻 たかくなれ ●●ちゃんの鼻 たかくなぁれ」と、お子さんの名前を呼びながら一緒にたいこをたたく真似をして読むと、物語が一層楽しくなること間違いなしです。
(洪愛舜 編集者・ライター)
長く語り継がれてきた昔話が、ゆったりとした東北弁でおおらかに再現されます。 太鼓を手に子供たちに語り聞かせてきた、新田さんならではの語り口です。 ぜひ声に出して読んでほしい1冊。 それを田島さんが、言葉にされていない部分にも独自の解釈を加えて、力強いタッチで描きました。 「源五郎はお菊ちゃんのことがほんとうは好きだったんじゃないのかな?」と、 男の子が好きな女の子につい意地悪をしてしまう気持ち、 お菊ちゃんも本当は源五郎をにくからず思っているのでは、という視点で展開する絵に注目です。
しばらく前に「てんぐだいこ」(神沢利子作)を読んでいたからでしょうか。
訛りの入った新田新一郎さんの軽妙な文章と、破天荒な田島征三さんの絵に呑み込まれてしまいました。
ページの開きも天と地上を意識させて技ありです。
読み聞かせで子どもたちから笑いを取れそうな絵本です。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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