少年の不安を描きながら人生そのものを暗示した芥川の傑作を、友禅染めと蝋纈染めの技法を駆使した染色画で絵本化した大型愛蔵版。
トロッコを読んで、とても感動しました。このお話は少年時代に読んだことがありますが、最近、読み返すとひじょうに奥深いお話だと思いました。主人公の良平が命さえ助かればと思いながら、走って行ったというシーンはとても共感できました。そして最後の妻子と一緒に東京に出て来てからというシーンは実に奥深いと思いました。全然何の理由もないのに塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が細々と一すじ断続していると書かれています。私もまったく同感です。これまでの過去を振り返ると確かに人生とはそんなものだと思います。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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