小学4年生のカーくんが、障害者にダイビングを教えるインストラクター、椎名勝巳さんに出会った。浮力を利用する海の中では、障害が障害でなくなるという。「バリアフリー」の海が、カーくんに教えてくれたことは……。
障害を持った人たちが集まるダイビングスクールがあることをこの本で知りました。
私自身が海に潜ることなど考えたことすら考えたことはないのですが、地上では車イスでの生活をする人や、体を動かすことも不自由な人が、水中では身軽に動くことができるのだそうです。
本当のバリアフリー。
そして、海中の生物を見ていると、開放感と充実感を味わうことができるのです。
障碍者に対して温かい目を向けた物語を数多く書いている丘修三さん。
自身も内臓障害を持っている丘さんが、自らもダイビング体験をして取り組んだノンフィクション。
決して若くない丘さんのその意欲に、完全に脱帽です。
生まれながらに障害をもつカーくんが、スキューバーダイビングに挑戦します。
どちらかというと身体が弱くて消極的だったカーくんが、自ら決めた挑戦です。
丘さんは、フィクションではなく、事実としてのカーくんの取り組みを書き記します。
素晴らしい意外性です。
そして、この本に描かれている誰もが主人公だと思います。
インストラクターの椎名さんにしても、スキーの事故で歩行が不自由な人でした。
健常者を圧倒する、パワーあふれるノンフィクションでした。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
|