やさしい愛につつまれます
夫も息子も亡くし、ひとりぼっちのおばあさんは、馬商人から、小屋を貸したお礼にもらった子馬を自分の子どものように育てます。数年後、立派に育った馬を見た商人が、馬の大好きな王さまに話し、馬はお城に連れていかれることになったのですが……。
インドの「ジャータカ」という説話集の中のおはなしを紹介した作品。
お釈迦さまが生まれる前のおはなしですが、
善良な人々がたくさん登場し、心が清々しくなります。
夫と二人の息子たちを次々と亡くしたおばあさんは、
仏様の教えを思い出し、自分より不幸な人々に尽くすのです。
ある日、家に泊めた馬商人の馬が出産し、仔馬が生まれるのです。
息子のようにかわいがってくれるおばあさんと、仔馬は心を通じ合わせるのですね。
立派になった仔馬は、王様に所望されますが、やはりおばあさんのもとへ。
王様も無理強いしないところが、素晴らしいです。
アジアの風景をたくさん描写している小林豊さんの絵には、
インドの風景や人々の暮らしが活写されています。
瀬戸内寂聴さんが丁寧に書き下ろした文章は、とてもやわらかい印象でした。
やさしい心がいくつも重なりあって織り成すストーリー。
子どもたちに届けたいおはなしだと思います。 (レイラさん 40代・ママ 男の子20歳、男の子17歳)
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