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愛する者を失う悲痛さを、母親の姿に凝縮させた表題作ほか、木の一生に託して人生への絶望を語る『モミの木』を収録。〈童話の王様〉ともてはやされながら、愛すること、失うことのつらさを知りつくしていたアンデルセンの、孤独な魂が紡ぎ出す傑作二編。オリジナル・カラー挿画全ページ収録。
収録されている二つの作品が、とても深い問題提起をしていると感じました。
「母親」は、死んで行こうとする息子に、自分の全てをなげうって救おうとする先で、自分のエゴと向かい合うお話です。他人の母親を蹴落としても良いのか、子どもにとっての幸福は何なのか、とてもむごい問いかけに考え込んでしまいました。
「モミの木」は、森に育つモミの木が自分の幸せについて考えるお話です。夢に見たクリスマスツリーになって、モミは幸せにはなれませんでした。でも、もう森には帰ることが出来ません。
大人のための物語に感じました。ジョン・シェリーの絵が話に同化して、問いかけを視覚的に演じてくれました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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