カバー絵とタイトルからしてインパクト大のこの絵本。カバーにど〜んと登場しているちょっぴり悪い目つきをしたこの子こそが、主人公の黒い犬、アイザックなのです。
アイザックは、いじわるが大好き。当然仲よしの友だちもいなくて、アイザックはひとりぼっちでアパートに住んでいて、他のお部屋はからっぽのまま。 ある日、下の階に、わにのオーリーが引っ越してきます。早く追い出してやろうと、さっそくあの手この手のいじわるをしかけるアイザック。ところが、気のいいオーリーは、いじわるされているということを理解していないようで、アイザックはすっかり調子がくるってしまいます。
「今日はこんないじわるをしてやろう」とユニークないじわるをたくらむアイザックと、常に予想を裏切りつづけるオーリーの反応はよみどころのひとつです。 たとえば、ドラムをたたいて大きな音を出しても、「音楽大好き」とうれしそうに踊ったり、部屋の中にどろを持ってきても「どろんこ遊びができるね」とどろの山にダイブ! 意外で大胆な展開にびっくりしてしまうけれど、ふたりともとっても楽しそう。
いつも「いじわる」で身を固めて、ホントは友だちがほしいということに、自分でも気づいていなかったアイザック。そんな彼が、そこぬけにポジティブで、お人好しのオーリーと接するうち、少しずつ変わっていく姿が見逃せません。
ユーモアとウィットがすみずみまで満ちあふれたこの本を読み終わったら、ハッピーな気持ちになって、お友だちに会いたくなること、まちがいなしです。
(光森優子 編集者・ライター)
くろいぬの アイザックは いじわる ばかり しています。 だから ともだちが ひとりも いないのです。 あるひ アイザックの おとなりに わにの オーリーが ひっこしてきました。 アイザックは いつもの いじわるで オーリーを おいだそうと するのですが……。
アイザックのつりあがった目、黒い肌、不気味に笑う口・・ぱっと見ただけでこの子は「いじわるなんだ」と伝わってきます。様々ないじわるをしかけ、楽しそうに笑う姿がページでイキイキと描かれています。
そんなアイザックが、あるきっかけで落ち込んでしまい、その姿がページにポツンと描かれています。アイザックの悲しみがこちらにも伝わってくるようで、表現がとても上手だと感じました。
ラストはあと一歩ほしかったな、というのが正直な感想ですが、キャラクターはイキイキとしていますし、友達や思いやりのメッセージも含まれているので☆4つにいたしました。 (ゆらぎさん 20代・せんせい )
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