わたし(千恵子)は東京・浅草の洋品店で育ちました。 チーコと呼ばれていました。 兄弟たちは疎開し、父親は戦争にいってしまいます。 1945年3月の寒い、風の強い夜、なんの前ぶれもなくやってきたB29爆撃機の大軍のために、焼夷弾で町中が焼かれ、わたしは母親と、母親が縫って作ってくれた人形をもって、無我夢中で逃げました… 10万人以上が一夜で亡くなった、世界最大の空襲・東京大空襲。 本書は、作者みずからの体験をもとに描かれた、初の本格的な東京大空襲の絵本です。 作者の塚本千恵子が少女時代に体験した、この空襲において、母親の犠牲により一命をとりとめた実体験を、息子の画家・塚本やすしが絵本にまとめました。
目の前で母親が焼け死んだら、自分を守るために命を落とす様を見ていたら、その子はどの様に生きていくのだろうか。
実際に体験した悲しみを塚本千恵子さんが語り、息子さんの塚本やすしさんが描いています。
「戦争は嫌いだ」
塚本やすしさんの作品の中に、戦争反対の強い意思が引き継がれています。
忘れてはいけない作品です。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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