こんなにさみしそうなこぐまはみたことがありません。
雨の中、秋の夕暮れの中、雪の中、夏の浜辺、満天の星の下
読み進んでも孤独の中にいる姿は変わらない…
母に先立たれたこぐまのやるせないさみしさ悲しみに胸が
押しつぶされそうでした。
どうしてぼくをおいて…
あるページからママの姿が見えてきます。
柔らかい光の中でこぐまを抱っこし、ほおずりするその姿に
ほっとします。
時を経て、娘を持ち孫ができて感じ取ることが出来た母の悲しみ。
こどもを残し先立たなくてはならなかった母のこころは
「 しあわせになってね。
かあさんよりも ながいきしてね。」
どっと涙があふれました。
こどもをだっこできる幸せをかみしめました。
内田麟太郎さんの小さな自伝との一文がありました。
あの楽しいお話の後ろ側にこんな想いがあったのですね。