出版社エディターズブログ
2023.10.30
出版社からの内容紹介
成績に一喜一憂する寝不足な日々。
さらに、はじめてのホントの恋まで! さあ、どうする?
首席で進学校に入学してしまったジュノ。入学初日から生徒を成績でランク付けする学校のやりかたに違和感を感じながらも、高校生活が始まる。父は田舎で病気の療養中。母は父についていき、叔父とふたりで暮らしている。
入学してからはトップをとれず、思い悩む日々。家計を思い、塾にも行っていない自分が、この学校で競い合っていけるのかと不安になる。同じ中学出身の親友、ゴヌに誘われて入った時事討論サークル「コア」だけが、晴れやかな気持ちになれる貴重な場だ。びっくりするくらい博識で、知的な刺激を与えてくれるボナ先輩、まっすぐな性格の同級生ユビン、そしてゴヌ。「コア」の仲間には、おしこめた不安や焦りも口に出すことができた。ジュノは次第に、独特なユーモアでまわりを笑わせるユビンに惹かれていく。
ところがある日、ユビンから、転校を告げられる。観光経営学科のある学校に転校し、卒業したら大学には行かず、旅行会社に就職するつもりだと。将来は自分の会社をつくりたいと言うユビンが、とても大人びて見えた。「ぼくは、はっきりとした目標があって大学に行こうとしているのだろうか」――。
テスト、課題、進路、SNS、そして恋……。1日は24 時間。やらなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことは満載!! ハードな高校生活を生き抜くために、“ 優等生” のジュノが見つけた法則とは?
未来のための今も、今のための今も、どっちも大切なぼくたちの時間。
さあ、先週に続く山下ちどりさんのラジオstand.fm「ちどりの学校図書館ラジオ」コラボ企画!『優等生サバイバル』からみた韓国の高校生のリアル!
翻訳者のキム・イネさんと現役学校司書の山下ちどりさんを迎えての鼎(てい)談、第2弾です!
本と一緒にお楽しみください!
(キ)皆さんニュースとかで韓国の受験の時にパトカーが出動する映像をみたことはありませんか?
(全員)あります!
(キ)韓国は学歴社会と知られていますが、中学受験、高校受験がないので、大学受験が人生を左右するとも言われているほど、いわば一発勝負なんです。
(全員)えーー!!
(キ)パトカーが出動していたのは、毎年11月に行われている「大学修学能力試験」といって、日本で言うところの共通テストです。韓国は入試の形式が、「定時」という日本で言う「一般入試」と「随時」という「総合型選抜」(AO入試)の2つに分かれています。実は最近の韓国では、修学能力試験の前に決まる「随時」の募集が8割近くになっていて、あの11月のテストは残り2割の「定時」募集枠の受験生なんです。韓国の高校生はまず8割の「随時」を目指すんです。だから高校1年生のときから中間・期末テストを必死でがんばっていて。その背景があるから、ビョンスは内申の点数をあげるために、テスト以外にも、例えばボランティアやいろいろな大会での受賞などでがんばっているんです。
(評)ずっと気を張ってないといけない状態なんですね。
(キ)そうなんです。それに、日本の共通テストなどは高校教科書から逸脱することは基本的にないのですが、韓国ではキラー問題と言われている、教科書以外からの問題が大学受験にでるんです。点数の差別化のためだとは思うのですが。それは学校では教えてくれないから、みんな塾にいく、家庭教師をつけるということになるみたいです。大学入試制度は常に議論されていて、今の大統領になったときに、今年は「定時」と「随時」の比重が、6対4まで下げられたようです。さらに、「キラー問題」も出さないように決まりました。でもこういった制度の変更が、来年の入試はこうなりますと急に発表されたりするんです。キラー問題については今年の6月に発表されて今年の入試から適応です。日本のように猶予を与えてくれないので、高校生はつねに手探りで・・・
(評)今の制度で頑張っている子たちがかわいそうですね。
(キ)そうなんです。
(評)ちなみに韓国には浪人制度はあるのですか?
(キ)あります!なかには、もう一度受験をしなおす大学生もいらっしゃるみたいですよ。
(ち)日本は今「総合型選抜」の割合を上げようとしているので、日本の高校生の何年後かの姿を『優等生サバイバル』の登場人物が見せてくれている。日本の中高生にとってキャッチーなお話だなって、「みんなの未来はこうなっているかもよ?」ということを日本の子たちに言えるのではないか?と思っています。
(評)韓国の子たちは結果息苦しくなっているので、日本の子どもたちも心配ですね。
「勉強」ということに集中しがちな韓国。その制度に疑問をもちつつ、すぐにはかわらない、今、この息苦しさのなかでがんばっている子どもたちにエールを送っているのが本書です。著者が物語に込めたあたたかなはげましと、青春を未来のための準備期間ではなく、かけがえのない、「今」として過ごすためのヒント、ぜひ受け取ってください!
この人にインタビューしました
翻訳家。大学講師。韓国梨花女子大学通訳翻訳大学院卒業。通訳翻訳業を経て、2005年からドラマや映画の字幕翻訳を始める。
主な字幕翻訳作品に「応答せよ1994」「ミンセン〜未生〜」「師任堂、色の日記」(以上、すべてドラマ。すべて共訳)。「隠された時間」「君の結婚式」(以上、映画)などがある。
この人にインタビューしました
現役学校司書。stand.fm「ちどりの学校図書館ラジオ」パーソナリティ、絵本ナビスタイルにて「現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本」の連載コラムを執筆。
出版社からの内容紹介
シングルマザーに育てられた17 歳の少年ノウル。16 歳で自分を生み、ひとりで育ててくれた母に、だれよりも幸せになってほしいと願っていたのに、恋人候補として急浮上したのは、親友の兄、母より6歳も年下の、やっと就職が決まったばかりの若者だった。母さんに平凡なパートナー≠みつけて普通の幸せ≠手に入れてほしいのに――。
「平凡≠チてそもそもなんなの?」と親友ソンハにたずねられ、その問いについて考え続けることで、ノウルがみつけたものとは。
寒い冬の空の下、少年が次の季節へ歩き出すまでの物語。